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現場発

第9回「裁判に勝ったけれど... ~ハンセン病 終わらない闘い~」

第9回「裁判に勝ったけれど... ~ハンセン病 終わらない闘い~」 2013年6月15日(土)午後 1時30分放送

2001年5月11日、熊本地方裁判所の前で大きな歓声の中掲げられた「勝訴」の文字。病気に対する誤った認識で、強制隔離をされていたハンセン病の元患者たちが国に賠償を求めた裁判で、原告の元患者たちに対し勝利が告げられた瞬間でした。

その後国は控訴を断念し、熊本地裁で原告が完全に勝利しました。違憲国賠訴訟の第一審で原告が勝利するという前例はありませんでした。この裁判の裏には、様々な人たちの思いがありました。負けたら死ぬ覚悟で裁判を闘った、元患者たち。療養所に通い続け元患者の声を聴いた、裁判長。控訴断念を訴え続けた閣僚。

多くの思いを結集させて現実のものとなった、歴史的判決を経て、法の上では、元患者たちは解放されました。しかし、すでに取り返しがつかないことが多すぎたのです。堕胎を強制され、死なせてしまった子どもへの贖罪の念。家族との縁を切られ、恵楓園の中の納骨堂に入らざるを得ない現実。元患者たちは勝訴から12年経った今も、一生消えない傷を抱えながら、生きています。ハンセン病の歴史を振り返り、改めて差別や偏見の問題を考えます。