「きっと軍国少女になっていた」熊本市で戦時下の教育や生活など伝える企画展
戦時下の教育や生活などを伝える企画展が、熊本市の県立美術館分館で開かれています。
会場には戦時中の学校に掲示された壁新聞や軍事色を強めていく絵本やおもちゃなど、およそ300点が展示されています。
熊本市に平和を学ぶ戦争資料館を設立しようと活動している「くまもと戦争と平和ミュージアム設立準備会」が企画しました。
メンバーの1人、宇城市の上村真理子さんは、30年をかけて収集した戦時資料約200点を出品しました。
■上村真理子さん
「国民学校に変わった昭和16年の4月から命を捧げる教育だったんです、同級生が出生する時に寄せ書きをしていて、女生徒が『信男君白木の箱で帰って来るのをお待ちしています』と書いてあるんですよね」
日清、日露戦争そして第1次世界大戦を経て、国民の戦争への思いも現代とは大きく異っていました。
■上村真理子さん
「大人も、結構戦争を受け入れているんです。この当時は日中戦争の始まって間もなくと思うんですよ。立派な祝い着ですよね。普通家紋があるでしょ。だから、これが上から『こういうのを着せなさい』とかではなくて、こういうのが 売れるんですよ」
「カルタではこんな書いてあるんですよ。赤紙が来たと喜ぶ父さんと書いてあるんです。それとか、東亜の盟主大日本と書いてあるんです。私たち日本人はとても優秀であるというふうに子どもたちに教えられます。当時このような形でしていたら、 きっと私は軍国少女になっていたと思うんです」
■来場者
「戦争が苦しいものだと全国民が分かっていたら、きっと このようなことは起こらなかったはず。その当時はこれが普通だと知ることができて、戦争への見方が広がったと思います」
「実際に物を見ることによって、当時はこうだったというのがよくわかりますよね。今は戦争なんていうのは嫌だダメだって言ってますけど、多分その時になったらこういう本を見て軍国少年になってるんでしょうね」
上村さんたちは、常設の戦争資料館の必要性を訴えます。
■上村真理子さん
「私もこの物によって、これが訴えかけてくる感じがするんですよね。それをきっかけに『よし、調べてみよう』と、この昭和の戦争時代をもっと私は知りたいという気持ちを持って集めてきたのですけどね」
この企画展は2025年8月31日まで県立美術館分館で開かれています。