熊本市の書店で営業時間外の無人対応システム初導入
熊本市中央区の書店が営業時間外に無人で対応するシステムを県内で初めて取り入れました。書店の経営難が全国的な課題になる中、熊本で初めての試みとは。
■東島大記者
「現在時刻は午前10時前です。こちらのお店開店時間が午前11時ですので、まだ閉まっています。でもこのQRコードを登録した私の携帯で読み取りスマホをかざすと、ドアが開いて中に入ることができます。店内に入ると客は私ひとり、本を独り占めしているような不思議な気分です」
ゆっくり本を探して、セルフレジで会計。レシートもすべてスマートフォンだけで完結します。
この仕組みを取り入れたのは熊本市中央区の上通アーケードにある長崎書店です。
社長の長﨑健一さんは、営業時間を延ばして勤め帰りや学校帰りの人たちのニーズに応えたいと考えていましたが、問題は人件費でした。
■長崎書店 長﨑健一社長
「お客様のニーズはあるけれども、人を雇って配置してまで取れる売り上げ、利益なのかということはやはり経営的には考えないといけないので」
全国で書店が急激に姿を消しています。県内でも多くの書店が休業し、すでに県内の市町村の半数で書店が1軒もありません。国も支援策を検討していますが決め手はないのが現状です。
■長崎書店 長﨑健一社長
「それをもう待ってるだけでは、どんどん書店というのは減ってしまいますので、まずは今使える仕組み、できることを個別の書店でもどんどんチャレンジしていくのが必要じゃないかと思っています」
このシステムはただのセルフレジではありません。出版取次大手と連携していて、どの本が何時頃に売れたのかという記録も自動で管理されます。
すでにこうした仕組みを取り入れている東京などの書店では、朝にビジネス書がよく売れたり、SNSで話題になったコミックを夜に買いに来る客がいたりするなど新たな動きがみられるということです。
■お客さん
「ありがたいです。上通りは遅くまで空いてる店が少ないので」
「仕事前に寄ったんですが、仕事前にすぐ寄れるのがすごい便利だなと思います」
■長崎書店 長﨑健一社長
「まずはお客様に来ていただいて 本を買っていただくっていうことを 保ち続けなければ、何をやっても手遅れっていうことになりかねませんので、まずは熊本で我々ができることをやってみるっていうことを考えています」
(永島由菜キャスター)
書店がどれくらい減っているかといいますと、全国のデータですがこのように2003年以降リアル書店は減少の一途で、入れ替わるように電子書籍やネット書店が伸びています。
(飯田嘉太キャスター)
やはり欲しいときにいつでも注文できるというネットのメリットは大きいですよね。
(永島由菜キャスター)
今回の長崎書店のようにリアル書店の方もIT技術を利用して客のニーズに応えていこうという取り組みが進んでいくと、書店を巡る状況もまた変わってくのではないでしょうか。