「生きた歳と同じ数の桜が命を受け継ぐ」熊本地震の土砂崩れで車ごと…息子を失い8年 両親の思い

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熊本 2024.04.16 20:52

一連の熊本地震では関連死をふくめ、273人の方が犠牲となりました。当時大学生の大和晃(ひかる)さん。8年前の「本震」で起きた土砂崩れで命を落としました。突然わが子を失って8年。両親の息子への思い、そして伝えたいこととは…。

今年もこの場所で本震の日を迎えました。
阿蘇市に住む大和 卓也さんと妻の忍さんです。


二男の晃さん。本震のあと車ごと土砂崩れに巻き込まれ、帰らぬ人になりました。

■大和 卓也さん
「この静けさの中で子どもがあの時、川の中に落ちて苦しんでいたのかなと振り返った所で思います。自分たちにとっては確かに8年というのは長いかもしれないですけどあっという間の8年でした」



1回目の地震のあと、断水して困っていた友人に水を届けた帰りに行方がわからなくなった晃さん。
行政による捜索が打ち切られても、両親は独自に息子を探し続けました。

■母・忍さん
「会いたいです。抱きしめたいです」



ともに探す仲間が増えた中、谷底に晃さんの車が…。

■母・忍さん
「みんなで一緒に連れて帰るよ、みんなの力で帰るよ…」


■大和 卓也さん
Qお骨はあえて自宅に置いてある?
「あそこで4か月ずっと1人で水の中にいたと思うと、家の中が一番落ち着くのかなと思ってここにいてもらっている」



どれだけ怖かっただろう…。どれだけ寂しかっただろう…。
母は今も息子を思い、折り鶴を作りつづけています。
同時に忘れることがないのは、晃さんを見つけられた恩です。

■母・忍さん
「色々な方たちの力をいただけたというか、それで晃を見つけ出すことができました。誰にも自分の気持ちを伝えられずに苦しんでいる方がいると思うんですね。だからひとりじゃないよって誰かに声をあげれば、伝えれば、誰かはきっと手を差し伸べてくれるよって」


家族が5年前に植えた桜。
晃さんが生きた歳と同じ22本あります。

か細かった幹は…立派に育ち、花を咲かせました。桜の成長に晃さんへの思いを重ねています。

■大和 卓也さん
「もっともっと大きくなって、列車の車窓からも見えるようになってくれるといいなというのが最終的な自分たちの思い」

■母・忍さん
「晃がみんなの花を咲かせてくれて和ませてくれたり、癒してくれるのかな。ずっとそんな風に、この桜が命を受け継いでくれているのかなって感じている」

8年は区切りではありません。晃さんを想う変わらない1日です。