大阪で「赤ちゃんポスト」運用開始へ泉佐野市長「最後の砦」自治体主導は初

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熊本 2025.05.30 19:11

親が育てられない子どもを匿名で預け入れる「赤ちゃんポスト」をめぐり、新しい動きです。大阪府の泉佐野市が、来年度にも赤ちゃんポストの運用開始を目指す意向を示しました。


いわゆる赤ちゃんポストは、熊本市の慈恵病院が2007年、国内で初めて開設し「こうのとりのゆりかご」の名前で運用しています。泉佐野市は29日、赤ちゃんポスト設置に向けた調査費用を6月市議会に提出すると発表しました。今年度中に委託する医療機関を決定し、早ければ来年度にも運用を開始したいとしています。また望まない妊娠に悩む女性が身元を病院にのみ明かして出産する「内密出産」にも取り組む方針です。

実現すれば慈恵病院と東京・墨田区の賛育会病院に次ぐ全国の医療機関として3例目で、自治体が主導するのは初めてとなります。


泉佐野市の千代松大耕市長は30日、報道陣に対し「赤ちゃんの命を守る最後の砦が赤ちゃんポストだと思っている。社会的意義の大きい事業に行政が取り組んでいかなければいけないと考えている」と話しました。

これについて慈恵病院の蓮田健理事長は「大都市で取り組みが始まることはありがたい」とした上で、実態に見合った法整備がない中での取り組みについて危険性を危惧しました。



■慈恵病院・蓮田健理事長
「赤ちゃんポストも内密出産も、現実的なルールがないままそれぞれの思いで始めている状態ですので、ぜひこの最低限の赤ちゃんの命にかかわるようなことがないようなルール作りをしていただきたい」

また熊本市の大西市長は、支援体制が充実することは望ましいとして情報の共有など協力していきたいと述べました。