【何が】山都町のふるさと納税指定取り消し 生産者に打撃も…背景は
山都町のふるさと納税を紹介するウェブサイトです。2024年度は全国から約2万9000件の寄付があり、6億360万円もの寄付額が寄せられていました。総務省は26日、山都町のふるさと納税の対象指定を取り消すと発表しました。指定の取り消しは県内で初めてです。一体、何があったのでしょうか。
驚きの発表があったのは、26日の午前中でした。
■村上誠一郎総務相
「ふるさと納税制度に対して信頼を損ないかねないもので大変遺憾」
総務省は、ふるさと納税に関する基準に違反したとして山都町を含む全国4つの自治体の指定を取り消すと発表しました。取り消しは9月30日付けで、2年間指定を受けることができなくなり、寄付する側は新たにふるさと納税を行っても控除を受けられなくなります。
一体、何があったのか。町は26日の午後、緊急の記者会見を開きました。
■山都町・坂本靖也町長
「多くの方々にご迷惑をおかけすることを深くおわび申し上げます」
ふるさと納税の制度では、寄付を募るのに使う経費を寄付額全体の5割以下に抑える基準が設けられています。そうした中、山都町ではおととし10月から去年9月までの期間で、寄付額に占める費用の割合が56.1%と、5割を超えました。運送費など物価高騰に伴って経費がふくらみ、5割以下に抑えられなかったとしています。
山都町が公開している過去5年の寄付額。昨年度は過去最高となる6億360万円の寄付がありました。経費を差し引いた、約3億円ほどは予防接種の委託費用や子どもたちの医療費の助成金などに活用されています。県内で初めての指定取り消し。町民に受け止めを聞くと…。
■町民
「大打撃でしょうね、数億円の。ふるさと納税で事業をしていた人はなにもかもダメになってしまう」
「2年間ですからふるさと納税そのものでこの町がつぶれないか心配です」
ふるさと納税の制度についての研究機関は、返礼品の生産者への打撃を指摘しています。
■ふるさと納税総合研究所・西田匡志さん
「限られた生産量から返礼品に回していると思うんですけど、いきなり新しい販路を探すのも大変なことで在庫が余ってしまうこともありますよね。本当に返礼品提供業者は倒産することもありえるような大問題になります」
町は返礼品を取り扱う事業者に近日中に説明会を開く予定で、支援などを検討するとしています。また総務省と協議し、第三者による検証を行う方針です。