人工透析患者数割合ワースト3位の熊本県 病院とクリニックの独自の取り組み
(飯田嘉太アナ)
腎臓に関するお話です。衝撃のデータをお伝えする前に「慢性腎臓病」という病をご存知でしょうか?
(緒方太郎キャスター)
腎臓って体に不要なものを外に出す臓器ですよね?「慢性」なので長く続く状態?
(飯田嘉太アナ)
そうです。腎臓は腰の辺りに2つあり体内の老廃物を尿として体の外に排出する役割があります。そして「慢性腎臓病」とは、この腎臓の動きが健康な人の60%未満に低下する。もしくはタンパク尿が出るといった腎臓の異常が続く状態です。
この「慢性腎臓病」の最たる治療がよく聞く「人工透析」なんですが、2023年のデータによると、熊本県は人口100万人あたりの人工透析患者数が東京や大阪、福岡よりも多く全国ワースト3位なんです。(日本透析学会統計調査報告書「わが国の慢性透析療法の現状」)
(永島由菜キャスター)
なぜ熊本に透析患者が多いのでしょうか?
(飯田嘉太アナ)
取材した医師によりますと実ははっきりとした原因が分からないそうです。そこで今回のテーマが「将来の腎不全患者を減らす!?乳児腎臓超音波検査の必要性」についてです。熊本市の病院とクリニックが独自で行っている取り組みがあります。
「乳児健診腎スクリーニング」エコー健診です。熊本市では一部のクリニックなどを除いて乳児の3か月健診の時に腎臓のエコーを行っています。このエコー検査の必要性について、専門の医師は次のように話します。
■熊本赤十字病院 小児腎臓科・伴英樹 副部長
「慢性腎臓病と言われる、少し腎機能が悪い子たちの約7割は生まれつきの腎尿路異常。また透析だったり腎移植だったりを必要とする。いわゆる末期の腎不全の子たちの約4割が、この先天性腎尿路異常と言われています。この先天性腎尿路異常の特徴として学校検尿では異常が見つかりにくい。 要するに血尿だったり。蛋白尿が出にくいと言われています」
(緒方太郎キャスター)
検尿では分かり辛い。ではどうして3か月健診のタイミングなんでしょうか?小学校の健診でも良さそうな気が。
(飯田嘉太アナ)
伴先生に聞いてみました。
■熊本赤十字病院 小児腎臓科・伴英樹 副部長
「発見せずにいってしまうと徐々に腎機能が低下したり、また高血圧が出始めたり、尿タンパクが出始めたり、いろんな事象が起きてきてしまいます。 早く発見することで、それに対して例えば手術が必要な子たちは適切なタイミングで診断をつけて手術をしたり、適切な時期で内服管理できそうな子たちは薬を始めたり、またそういった高血圧が出ないかなどのモニタリングもしっかり外来でできるという意味で早期発見に対してはすごく意義があると考えています」
(飯田嘉太アナ)
この5年で約100例の疾患の発見につながったといいます。実際に3か月健診で腎臓に異常があるかもしれないと再検査を勧められた母親に話を聞きました。
■健診で要再検査と言われた母親
「『異常なしです』って言われる気持ちで椅子に座ったんで、まさかでしたね。1人目っていうのもあるんで、ちょっと不安はありました。保育士してましていっぱいいろんな子どもたち見てるんですけど、早めに対応していただいて少しでもみんなが元気に過ごせれば」
(飯田嘉太アナ)
先進的な取り組みだと感じられる一方で問題が1つ…実は公費での検査になっていないんです。病院とクリニックのネットワークがしっかりしている熊本市だからこそ行えている取り組みですがどこの医療機関でも平等に検査できるているかと言われるとそうではありません。
これが公費になれば平等に幼いころから腎臓の異常が分かる割合も増える腎臓が悪くなる前に対処できる更に熊本市以外の市町村にも広がっていけば将来の熊本県の人工透析患者を減らせる一手になるのではないか?という展開です。