熊本市の道路が"冠水しがちな"理由 地形に近年の雨の降り方も関係していた

この記事をシェア

  • LINE
熊本 2025.08.25 20:21

県民のギモン。今回のテーマは「なぜ?熊本市で相次ぐ"道路冠水"」です。

(吉田佳記者)
記録的大雨からわずか10日余りたった先週金曜日の夜、熊本市内では1時間に32ミリの激しい雨が降り、道路が再び冠水しました。家に帰るのに困った方も多かったのではないでしょうか。相次ぐ道路の冠水の理由には、周辺の地形や近年の雨の降り方の変化が関係していました。

【VTR】
夕方まで大雨は降らず、九州を通過していた熱帯低気圧の影響も少ないように思われていた8月22日の夜。突然降りだした激しい雨により、熊本市内では短時間で道路が冠水し、駐車場なども水に浸かりました。中でも冠水が多く見られたのが…。


■洲﨑湧貴記者
「熊本市東区に来ていますが、足首がすっぽり隠れるほど道路が冠水しています」

冠水した国道57号、通称東バイパス付近は川のようになり、スピードを落として走る車が多く見られました。なぜ熊本市の東部では道路の冠水が相次ぐのか。気象台にうかがいました。



■熊本地方気象台・岡本聡統括予報官
「健軍川(けんぐんがわ)や藻器堀川(しょうけぼりがわ)で夕立に伴う河川の急激な増水が見受けられる。比較的幅も狭いような川ですが、雨が平地に降ると一気に川に注いで急激な川の増水に注意が必要だと思います」



熊本市東区を流れ、どちらも江津湖につながる2つの川。いずれも大雨の際に急激に水位が上がり、川からあふれた水がアスファルトで覆われた都市部の住宅街や道路に溜まりやすいと指摘します。そして気象台は冠水の原因の一つとして、近年の雨の降り方に変化がみられるといいます。

■熊本地方気象台・岡本聡統括予報官
「1976年のアメダス統計開始の10年間と最近の10年間とで統計を取りますと約1.5倍、非常に激しい雨の日が増えているということがわかっていますので、浸水の影響が出やすくなっている」
【1時間50ミリ以上の雨】
 1976~1985年の年間平均 約226回
→2015~2024年の年間平均 約334回

地球温暖化により大気中の水蒸気量が増えたことで、短時間で大量の雨が降る回数が増え、川が氾濫しやすくなったことも原因の一つとしています。そしてこれから台風のシーズンを迎えます。冠水被害を防ぐため気を付けたい点をうかがいました。

■熊本地方気象台・岡本聡統括予報官
「急に川の上流で雨が降ると河川が増水したり、急激な気象の変化がありますので出かける際は雨が降っていなくても事前の準備をしていただければ」

【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
急な大雨が降るたびに道路の冠水を心配しないといけない。何か対策はあるのでしょうか?


(吉田佳記者)
熊本市は順次対応を進めています。熊本市の東部を流れる藻器堀川です。水前寺成趣園から少し上流では、このように川幅が狭く、水があふれやすい場所もあるんです。

熊本市河川課は川の氾濫や冠水に対する今後の対策として「市内各地の川で順次、下流から上流に向けて川幅を広げたり水路の形を変えたりするなど流れをよくするための改修を進めている」としています。