計画発表から58年…五木村が「流水型ダム」建設受け入れ表明 2035年度完成へ

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熊本 2024.04.22 19:17

国が川辺川に計画している流域型ダムについてこれまでの経緯をまとめました。


1966年、球磨川の治水のため国が支流の川辺川にダムの建設計画を発表します。
しかし計画当初から中心部がダムに沈む五木村では激しい反対運動が続きます。

2008年。当時の蒲島知事が川辺川ダム計画の「白紙撤回」を表明。
五木村はダムによらない村づくりを進めてきました。

しかし、2020年7月。
熊本豪雨で甚大な被害が出ると当時の蒲島知事は一転して11月に流水型ダムの建設を容認、国に要請しました。

半世紀以上にわたりダム計画に翻弄されてきた五木村。21日に村民集会が開かれ、木下丈二村長は流水型ダムの建設を受け入れる意向を表明しました。


村民143人を前に木下村長は環境への影響や、地域振興に対する国と県の支援の方向性などを総合的に踏まえダム建設を受け入れる考えを示しました。

■五木村・木下丈二村長
「これまで58年にわたるダム問題を乗り越え流水型ダムを前提とした村づくりに向けて新たなスタートラインに立つべきであると判断いたしました」

木下村長の判断に村民からは…。

■参加者
「ダムを前提としない振興策もあるわけですからその話ももう少し考えてもらいたい」
「村の振興策をしていく上で流水型ダムありきとないとでは雲泥の差だと思う。(予算的にも)いろんな事業をしていく上でできない面がいっぱい出てくると思うので、私は村長の意見と同じです」

村民からは流水型ダム計画への賛否とともに、村の振興策について早期実現を求める声が相次ぎました。

■五木村・木下丈二村長
「しっかり一丸となって振興に臨む時期が来たと村民の皆さまに集まっていただいて激励や貴重なご意見を賜ったということで、これから前に向けてしっかり進んでいきたい」


国は2027年度に本体工事に着手し2035年度の完成を目指しています。


地域振興策をめぐっては、去年5月、五木村と国・県は「“ひかり輝く”新たな五木村振興計画」を策定しました。例を挙げますと、人口減少対策として今年度から「出産祝い金」を新設したほか、小学校の制服や教材費など義務教育にかかる費用の無償化などに取り組んでいます。

木下村長が容認を表明したことで、ダム建設に伴い“水没予定地”とされる場所の利活用などについて、3者で協議し、今の振興計画に盛り込んでいくことになります。