創業159年「帯屋」が下通アーケードから移転 再出発にかける思い

この記事をシェア

  • LINE
熊本 2025.11.21 20:32

着物に身を包んで凜々しい男の子。七五三の装いを演出したのは、熊本市の老舗呉服店です。下通で約100年続いた店の新たなスタートにかける思いを取材しました。熊本市の下通アーケードに店を構える呉服店「帯屋」。古くからの常連や家族の晴れ姿を彩ってきた老舗です。


■熊本市内から来た人
「娘が七五三の時の帯などを買った。なにかあったらすぐこちらに来て足りないものを求めたりしていたので寂しいです」

下通で99年、地域の人に愛された店がひとつの区切りを迎えようとしていました。1866年創業の帯屋が下通に店を出したのは1926年。その後、現在のビルに移って営業してきました。しかし、2016年の熊本地震で被災。窓ガラスが割れ、建物にヒビが入る被害を受けて1か月の休業を余儀なくされました。


追い打ちをかけたのが、ことし8月の記録的大雨です。浸水して老朽化した壁から水がしみ出す被害に、移転を決断しました。



■帯屋・宮崎雅士社長
「毎年毎年違うところが壊れていく。原因は熊本地震にある。ビル全体の傷みがあまりにもきつくてこれはもう思い切っていこうと。いつかは3年後、5年後、10年後にはやらないといけないことをたまたまこのタイミングでやった」

下通で迎えた最後の日。閉店を惜しむたくさんの人が駆けつけました。

■熊本市内から来た人
「(店に通って)20~30年になる。結婚式では留め袖や子どものお宮参り、3代で利用した。いろいろな思い出が走馬灯のように流れてきて、きょうはぜひ来たいと思って来た」

熊本の繁栄を見守ってきたこの場所で、長い歴史に幕を降ろしました。そして11月14日。帯屋はアーケードから少し離れた中央区新屋敷で新たな門出を迎えました。オープン初日には、七五三のために宇城市から訪れた家族も。



■男の子
「頑張りました~良かったね」
■母親
「着物も古い店で良いものがそろっているので帯屋さんでお願いしようと前から決めていて、老舗の安心感もあるので良かった」

宮崎社長は移転を機にこれまで以上に客や家族の人生に伴走していきたいと話します。

■帯屋・宮崎雅士社長
「一人のお客さんとの対話時間、接客の時間、お近づきの時間、お客様とのパイプを太くして、今までのお客さんを一回見つめ直す。できることを続けていけば、残すことができると考えている」


帯屋が掲げる「100年後も存続できる店づくり」。帯のように長く長く、ここから新たな歴史をつむぎます。