知ってた?"熱中症対策"6月から義務化 体調不良を「我慢しないで」

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熊本 2025.06.02 20:20

「記者のコトバ」今回は6月から始まった「企業の熱中症対策の義務化」です。


(中野美月記者)
尋常ではない最近の夏の暑さ。特に去年は全国、熊本ともに職場で熱中症になった人が多く、これまでとは違う傾向もみられました。

【VTR①】
年々増していく、夏の暑さ!皆さん覚えているでしょうか、去年の夏は…

■緒方太郎キャスター(去年9月)
「50-60を達成したのは、熊本市の暑さです。最高気温の猛暑日が50日、熱帯夜が60日記録しました」

■街の人
「夜もやばい。寝られないです」

異常なまでの暑さで去年は職場にも異変がありました。

■熊本労働局・吉川祐基課長
「昨年熱中症による休業4日以上の災害が過去10年で最多という状況になっております」



厚生労働省によりますと、去年、全国の職場で熱中症で亡くなった、または4日以上休業した人の数は過去10年で最多の1195人に。このうち亡くなったのは30人でした。(速報値)県内では亡くなった人はいなかったものの、重い症状で4日以上休業した人は25人で過去10年で最も多くなりました。内訳は製造業が8人警備業が7人、建設業と運送業が2人ずつなどとなっています。



熱中症は早朝や夜間の職場でも、年代別では20代でも確認されました。今や時間帯や年代を問わず発症する可能性があります。

こうした状況の中、最近の熱中症で死亡する原因のほとんどが初期症状の放置や対応の遅れです。そこで重症化を防ぎ命を守るため今回、対策が義務化されました。


■熊本労働局・吉川祐基課長
「熱中症の予防を中心に対策してきたが今回義務化については熱中症が発症したあとの措置ということで最低限の措置をお願いしています」


【スタジオ】
今回の義務化の基本的な考え方をまとめました。
①熱中症の自覚症状やそのおそれがある人を見つける
②医療機関への搬送や救急隊要請などを判断する
③救急車が到着するまで作業着を脱がせ、水をかけ全身を冷やすなど対処する

こういった連絡体制の整備や重篤化を防ぐ手順の作成や周知が義務付けられました。対策を怠ると拘禁刑や罰金が科される可能性があります。対策の義務化を前に5月、県内の企業でも準備が進んでいました。


【VTR②】
八代市の松島建設です。5年前の熊本豪雨で被災した八代市坂本支所の新築工事を担っています。この日は現場責任者らによる月に1度のパトロールが行われ、安全管理や体調について確認しました。体力を消耗する現場。予防対策にも余念がありません。

■作業スタッフ
「(仕事は)暑くてきつい。(対策で)前日早く寝たりする。空調服(ファン付き作業着)を着たり現場に水筒を持っていって、常に水分を取れるようにしている」

■中野美月記者
「こちらの現場では冷水器や製氷機が準備されていて対策がとられています」


さらに、ミストを噴射するファンや経口補水液など、対策グッズも用意されています。この日の会議では発症後の対策の義務化について周知しました。

■松島建設 松嶋進治社長
「熱中症の場合は発見しました、そしたら誰に報告するのか、どのような対応をせねばならんのか、どこの医療機関に搬送するのか、可視化ですね」

松島建設が熱中症の早期発見のためすでに取り入れているのが2人1組で作業するバディ制です。お互いに声をかけ合うことで体調の変化に気づきやすくなるといいます。

■作業スタッフ
「様子がおかしいと気づける。早期発見、重症になる前に気づけるように心がけている」

目前に迫る、暑い季節。現場の会議でも危機感を高めていました。


■松島建設 松嶋進治社長
「ここ数年の暑さは想像以上の暑さですから自己管理も努めねばならんと。これから暑さに体を慣らしていくとか、通常から少し運動することも心がけていかねばならないと思う」

環境や設備だけでなく、スタッフへの周知や意識づけを強化していくということです。

■松島建設 松嶋進治社長
「繰り返し繰り返し周知して、黙っていても目をつぶってもスラスラと出るところまでしないといけない。今一度基本に立ち返ってやらねばならない」

【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
今回の対策は業種を問わずすべての企業で義務化されるので私たちも気をつけなければいけないですね。


(中野美月記者)
熊本労働局の吉川課長によりますと暑さで体調が悪くなっても「前日飲みすぎた」「睡眠不足」など自分に落ち度があると思い職場で我慢しがち。誰にでもあることだから我慢をしないことが大切と話していました。

これから暑くなる時期です。手足がつる、立ちくらみ、周りの人がフラフラしているなど「いつもと違う」と思ったら熱中症を疑うようにしてください。