「殺人に等しい」飲酒運転で女性2人死傷 元ホストの男に懲役12年
熊本市の路上で飲酒運転で女性をはね死亡させた罪に問われた元ホストの男に熊本地裁は懲役12年の実刑判決を言い渡しました。亡くなった女性の父親は「殺人事件に等しい」と話していたといいます。
判決を受けたのは、熊本市中央区の元ホスト松本岳被告(24)です。松本被告は去年6月酒を飲んだ状態で車を運転し、時速70キロ以上で約240メートルバック走行して熊本市の児童相談所職員横田千尋さんが死亡、横田さんの知人の女性がけがをしたとして危険運転致死傷や酒気帯び運転などの罪に問われていました。
裁判の争点は、危険運転致死傷の罪が成立するかどうか。裁判で検察側は、バックでの時速70キロを超える走行は「到底制御できない高速度」で重大な結果を招いたとして懲役12年を求刑。
一方、弁護側は危険運転致死傷の罪は、あくまで「速度が原因で車の制御ができないことを想定したもの」と主張し、今回は速度が遅いため危険運転致死傷の罪にはあたらないと反論していました。
27日の判決で熊本地裁の中田幹人裁判長は「走行」にはバックである「後退」も含まれるとした上で、後退での時速70から74キロは制御が困難な速度と認められ、危険運転の中でも、比較的重い部類の事案と指摘しました。
その上で、「追突事故や飲酒運転等の発覚を免れようとして無謀な運転に及んだ意思決定は、強い非難に値する」として、求刑通り懲役12年の実刑判決を言い渡しました。
判決を言い渡された際、亡くなった横田さんの父親はうつむき、遺族側の弁護士が背中に手を当てるとうなずく姿が見られました。
■遺族代理人・籾倉了胤弁護士
「被害者遺族の率直な感想としては、今回の事故は自動車事故ではなく被害者としては殺人に等しいものだと。本日が一区切りではありますが、被害者にとっては終わらない事件の中の一点に過ぎない。そういった思いでお話されていました」