「史上最遅の解禁」夜明け前の有明海で養殖ノリ種付け 空から見ると…
史上最も遅いスタートとなりました。県内の養殖ノリの種付けが6日に解禁され、県内の生産者が網の張り込み作業を行いました。
まだ辺りが暗い早朝の有明海。夜明けを前に次々と海に出たのはノリの生産者たちの漁船です。幅1.8メートル、長さ18メートルの網を海面に広げる「種付け」と呼ばれる作業。カキの殻にノリの胞子をつけた袋を網にくくりつけ、海に広げていきます。
温暖化の影響で海水温がなかなか下がらず、史上最も遅い6日の解禁となった今シーズンの種付け作業。網を張った海を空から見ると、色とりどりのじゅうたんを海に並べたようなこの時期にしか見られない光景が広がりました。
■熊本県漁業協同組合連合会・藤森隆美会長
「枚数は(種付けが)遅れた分だけ少ない。おいしいノリを消費者のみなさんに食べていただくという意気込みで取り組んでいます」
ノリは12月上旬に収穫が始まり、7億5千万枚の生産を目指しているということです。
【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
有明海産のノリです。昨シーズンのものですが、つやがあり、全国からも人気ですよね。一方で、ここ数年は生産量が落ちてきています。県漁連のまとめによると、ここ3年間に県内で入札にかけられた合計枚数は、7億枚台となっています。
原因として県の水産研究センターは、ノリに必要な「栄養塩」の不足をあげています。栄養塩は川から供給されますが、赤潮が発生すると吸収されてしまい、生育不良や色落ちにつながります。今シーズンは今のところ問題ないということですが、自然との闘いなんですよね。
今シーズンにかける思いを、有明ノリを使った「風雅巻き」を手掛ける風雅に話を聞きました。年間約500万枚から1千万枚のノリを使用するそうで、生産量が少ないと価格の高騰につながるそうです。
商品企画課の西村公仁子さんは「質と量ともに良いノリが採れ、 商品の販売を通して、生産者のみなさんに還元される状況を願っています」としています。