「こうのとりのゆりかご」昨年度は過去5番目に多い14人 開設から18年間で193人
親が育てられない子どもを匿名で受け入れる「こうのとりのゆりかご」、いわゆる“赤ちゃんポスト”に、昨年度は14人が預け入れられました。これまでの預け入れは計193人となりました。
熊本市の慈恵病院が運営する「こうのとりのゆりかご」は、2007年の開設から今年で18年を迎えました。「ゆりかご」の運用について有識者による専門部会がまとめた検証結果が28日報告され、昨年度は14人の新生児が預け入れられたことがわかりました。過去5番目に多い人数で、18年間の合計は193人となりました。
聞き取りなどを元に預け入れた理由を分類すると、「生活の困窮」や「世間体・戸籍」、「パートナーの問題」がそれぞれ5件で最も多く、出産した場所は「自宅」が9件で最多でした。また、父母などの居住地は「熊本県内」が1件、「熊本以外の九州」が1件、「不明」が過去最多の12件でした。
父母の身元情報が少ない結果について、慈恵病院の蓮田健理事長は「女性の匿名性に配慮した結果」と話しました。
■慈恵病院 蓮田健理事長
「一つひとつのケースは児童相談所に報告を控える状況になっています」
一方、情報が少なければ、子どもは知りたい内容にたどり着くことが難しくなります。熊本市と慈恵病院でつくる有識者による検討会は、今年3月に報告書をまとめ、生みの親の情報について子どもから請求を受けた場合、開示には父母の同意が必要と結論付けています。
■慈恵病院 蓮田健理事長
「(検討会の結論で)子どもへの情報開示は父母や兄弟など本人の同意が必要だと分類が明確化された。これが厳しい現実。法律を変えない限り、(同意のない情報の提供は)容認はできない」