【価格は落ち着く?】備蓄米「随意契約」発表 生産者は飼料米減らし主食用の作付増やす
農水省は26日、あわせて30万トンの備蓄米の売り渡しについて、随意契約に切り替えると発表しました。コメの価格がどうなるか、注目されます。一方、熊本の生産者にも変化が出てきています。
25日、私たちが訪ねたのは、田植えを終えた天草市河浦町の田んぼです。農家の倉田晋幸さんは、深刻なコメ不足を受けて今年、方針を転換しました。
■コメ農家 倉田晋幸さん
「今年の(コメの作付)総面積は24ヘクタールです。去年は17ヘクタールです」
作付面積を去年の約1.4倍に拡張。人が食べない飼料米を去年の半分以下に抑え、主食用のコメに切り替えました。
■コメ農家 倉田晋幸さん
「ここまで米が不足するとは思っていなかったので、今のコメの値段の上がりようにはびっくりしています」
こうした作付の変化は全国的な動きとなっています。農林水産省によりますと、今年4月時点で主食用コメの作付意向面積は全国で133万4000ヘクタールと、過去5年で最大に。熊本は2万9400ヘクタールで、去年の実績より800ヘクタール増加しました。
そうした中、26日。
■小泉進次郎農水相
「決してこれ以上の価格高騰を、高止まりをさせず、米離れを防ぎ、もって農水省の責任を果たしていく」
農水省は26日から、計30万トンの備蓄米について大手の小売り業者を対象に国が決めた価格での随意契約に切り替えると発表しました。売り渡し価格は60キロあたり1万1556円で、店頭価格では5キロあたり2160円程度を想定しています。
食卓の主役・コメの高騰は落ち着くのでしょうか。
【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
気になる今後の小売価格はどうなるのか、地方経済総合研究所の田上一平主任研究員に聞きました。
(永島由菜キャスター)
備蓄米が安く流通すると変わるのでしょうか。
(緒方太郎キャスター)
田上主任研究員は「値下がりは限定的か」と分析しています。
その理由は、
▽今回の備蓄米の売り渡しは30万トンで、年間のコメの需要約670万トンと比べると割合は少ない。
▽2024年産の玄米は60キロで2万4000円と、今回の売り渡し価格の倍以上で値下がりも期待されるが、まだ量が少ない。
(永島由菜キャスター)
ちょっと残念ですね。
(緒方太郎キャスター)
継続的に備蓄米が放出されれば、状況も変わるかもしれないですね。そして、田上主任研究員は気になる話もしていました。大手と地場の小売業者で、コメの価格差が生まれるかもしれません。
今回の備蓄米の売り渡しは、年間1万トン以上の取り扱いの見込みがある小売業者が対象です。つまり、地場のスーパーなどは該当しない可能性があり、大手の小売業者との価格差が発生するかもしれないということです。地方の小売業者に流通する仕組みに期待したいですね。