【密着】西日本唯一の「シロアリ探知犬」が住宅・文化財を鼻で守る!
凛々しい表情のこちらの犬、オスのビーグル・リッキーです。実はある特殊な能力を持っていて、10月には熊本市にある夏目漱石の旧居に出動しました。その能力とは「シロアリの探知」。西日本で1匹しかいないシロアリ探知犬に密着しました。
とあるオフィス。出迎えてくれたのはビーグルのオス、リッキー。「シロアリ探知犬」なんです。熊本市のニッショウ化学に勤務するリッキー。毎日、朝と夕方になるとシロアリ調査のトレーニングです。
■ニッショウ化学・冨田佳介さん
「ルーレットという訓練器具です(人の)おやつやリッキーが日頃食べているおやつこのカプセルの中にはシロアリが入っています」
「SEEK(探せ)」という合図でシロアリの特有のフェロモンを探して…においを嗅ぎ取るとその場に座り、首を振って居場所を教えてくれます。
■ニッショウ化学・冨田佳介さん
「リッキーが首を振って示したものにシロアリがいました。これで正解なのでリッキーはご飯が食べられます」
トレーニングとご飯はセット。正解しないと食べられません。建物の木材を食べて被害を及ぼすシロアリ。居場所を見つける調査は、通常だと目視と木を叩く打診を行い20分から30分かかります。それがリッキーだと約5分。文化財などの重要な建物を傷つけることなく、壁の中や柱の中などに潜んでいるシロアリをピンポイントで探し当てます。
約500億円といわれるシロアリ防除の市場規模。温暖化によりシロアリの生息地が国内で広がったり高機密・高断熱の住宅が増えたりしたことでシロアリの好む環境が増え防除の需要は高まっているそうです。ことし1月から約250件の仕事をこなしてきた働き者のリッキーですが。ボールが大好きでオフィスを縦横無尽に駆け回るやんちゃな一面も。
■ニッショウ化学社員
「(リッキーが)お客様のところに行くとお客様もすぐに笑顔になるので仕事がやりやすいので感謝しています」
継続的な訓練や飼育環境の維持などが必要ということもあってかシロアリ探知犬は国内では3匹、西日本で1匹のみ。リッキーは選ばれし犬だったといいます。
■冨田佳介さん
「ビーグルといっても向き不向きがある。この子は探知犬になれないという子も目にしているその中でもリッキーは覚えるのが早かった」
この日向かったのは、熊本市北区の住宅。シロアリ被害を懸念して建物には対策を施しているご家庭。定期調査で敷地内にシロアリが潜んでいないかを調べます。
■冨田佳介さん
「ここでまず1か所目ですね」
即座にシロアリのにおいを探知!次々と発見していきます。
「この列は3か所連続で反応しているのでここ界隈は多分ずっと反応するかな。 ずっとシロアリの通り道になってる可能性が高いですね」
わずか3分で6か所を探し当てました。
■冨田佳介さん
「中は予防しているので薬が効いているので(住宅部分には)入ってこない」
住宅は大丈夫なものの、庭の植木への被害が懸念されるということがリッキーの調査でわかりました。
■お客さん
「びっくりしました。だって人が見ても分からないじゃないですか。えーここにいるの?と思った」
■冨田佳介さん
「しっかり反応してくれて分からないところまで教えてくれたので。 しっかり今日も働いてくれて助かりました。気兼ねなく呼んでいただけるような存在になっていけたらなと考えております」
鋭い嗅覚で住宅や文化財を守るシロアリ探知犬リッキー。今後の活躍に期待です。