TSMC第2工場「進出が交通に与える影響大きい」会長発言に菊陽町での反応は
3日、台湾の大手半導体メーカーTSMCの幹部が第2工場の着工について当初より遅れていることを認めました。理由にあげられたのが「渋滞」です。これに対する県内の反応は…。
去年、TSMCの第1工場が量産を開始して約半年。隣接する土地に建設予定の第2工場の着工時期についてTSMCは当初の「ことし3月まで」から「年内まで」に方針を変更していました。
3日に開かれた株主総会後の会見で理由を問われたTSMC幹部は…。
■TSMC シーシー・ウェイ会長
「我々の進出が現地の交通に与える影響が非常に大きい。地域住民の方々の不満が高まっており、このまま進めるのは良くないと判断しました」
第1工場の建設が始まった2022年から課題だった周辺の渋滞。菊陽町が昨年度行った調査によると半導体関連企業が集まるセミコンテクノパーク周辺では、朝と夕方の時間帯に渋滞が発生しています。
熊本県は空港アクセス鉄道の整備など中・長期的な対策に加え、右折レーンの工事や周辺自治体と協力した時差出勤など短期的な対策に取り組んでいますが、菊陽町の住民に話を聞くと…。
■50代女性
「信号を何回も待つんですね。なかなか原水駅に行くことが朝の渋滞時は難しいなと思っています」
■70代女性
「(第2工場は)できて欲しいと 思いますね。それに道路の方をもっと早く工事の方を進めてもらいたい」
■30代男性
「菊陽町以外も熊本は渋滞するのでそこは課題なのかなと思います」
TSMC側から飛び出した渋滞問題への指摘。菊陽町の吉本孝寿町長は、県と連携してハードとソフト、両面での対策を進めるとしています。TSMCは4日、「年内の着工予定」は変わらないとして「住民の皆様の生活にご不便をおかけしないよう交通を含むインフラ状況に注意を払い、自治体と地元関係者とより一層密に連携を図りながら進めます」とコメントしています。
TSMCがこのタイミングで延期の方針を発表したねらいについて台湾と日本の研究・調査を行う台湾日本研究院の李世暉理事長に話を聞きました。
李さんはトランプ関税の問題による経済界の混乱があったとしてもTSMCが工場の進出を進めるのは可能とみています。その上で、日本政府や県に対しインフラ整備などもっとできることがあるのではという思いを示したい狙いが大きいと分析しています。