「今度は僕が助ける」豪雨経験した少年の夢【熊本】

この記事をシェア

  • LINE
熊本 2021.09.14 20:41

去年7月、甚大な被害が出た熊本豪雨を人吉市で経験した1人の男の子がいる。周りからの温かい支援で胸に抱いた未来への想いを取材した。

上村大二郎さん(11)。地元、人吉市の野球チームでキャプテンを務めている。

■上村大二郎さん
「(人吉で友達と過ごすのは)楽しい」

チームを引っ張るムードメーカーだ。

■チームメイト
「(大二郎くんのキャプテンはどうですか)まぁ元気いいです」
「おっちょこちょいでふざけたり。色んな面があったり…真面目なところは真面目」

大二郎さんには生まれつき障害がある。音の情報がうまく脳に伝わらない感音性難聴だ。音は聞こえるものの普通の会話は聞きとりづらく、これまで口の動きを読んで言葉を覚えていた。平日は人吉市から離れた熊本市の熊本ろう学校に通っている。

■上村大二郎さんと教師やりとり
「だいじろうさん」
「ソーシャルディスタンス」
「もういちど、最後の方」
「ソーシャルディスタンス」
「言えてる」

成長にあわせて勉強に力を入れるため去年転校し、手話を習い始めた。友だちにも積極的に手話で話しかける。

■上村大二郎さん
「(学校生活は)楽しい。手話を使えてわかりやすい」

■熊本ろう学校 家入そらさん
「いつもふざける人でもぼくたちを元気にしてくれる人」

学校が終わると寄宿舎へ。平日は寄宿舎で暮らし、休日は人吉市に戻る生活を続けている。

■上村大二郎さんと記者やりとり
「お家だったらお母さんがしてくれるんじゃないの?洗濯とか」
「まあね」
「めんどくさくない?」
「まぁめんどくさいときもある」

寄宿舎では8歳から19歳までの11人が共同生活をしていて、身支度から食事の手伝いまだべて自分で行う。

■上村大二郎さんと記者やりとり
「人吉のお家のことが心配になったりしない?」
「特に雨の日は心配するけれど…」
「お母さんと電話したりするのかな?」
「うん」

雨の日に離れた家族を心配する理由。それは…

去年7月の熊本豪雨。実家は2メートル近く浸水した。あの日、人吉に戻っていた大二郎さん。水が迫る中、家族とともに避難した。

■上村大二郎さん
「もう車を取りに行くときには膝ぐらいまではもういっていた。もう死ぬとおもった」

部屋に置いていたものはすべて泥だらけに…。勉強道具なども使えなくなった。

そして被災後、初めて登校した日にサプライズが待っていた。新しい筆箱やランドセル。友だちからの贈り物だった。

■上村大二郎さんと教師やりとり
「気持ちはどうだった?これを渡された時の気持ち」
「大事に使おうかなって思った」
「泣いたでしょ?」
「どういう意味?あぁ!泣いた」

■熊本ろう学校小学部 今﨑和子教諭
「だいじろうくんはいつも明るいのでニコニコしてきたんですよね…だから安心はしていたんですが(同級生が)筆箱をあげたあとに突然うわっと泣き出したというのをその時の担任から話を聞いて友だちに会ってホッとしたのかなって思いました」

温かい支援で水害を乗り越えた大二郎さん。故郷のために一生懸命働く人たちの姿がいまも目に焼き付いている。

■上村大二郎さん
「将来の夢はもう大工か消防士。人の命を守りたい」

今度は誰かの命を守りたい。寄り添い助けてくれた人への思いを胸に未来へ想いをつないでいく。