熊本地震の記録

震災乗り越え響く歌声 地産地消ミュージカル     2017年2月9日放送

sikiAA.jpg熊本にミュージカルを広めようと活動する元劇団四季の女性が、震災を乗り越え歌い続けています。

2017年2月6日、熊本市中央区の練習スタジオ。ミュージカル公演に向けて練習に励む小松野希海さん(29)の歌声が響きます。熊本地震で延期になったミュージカル公演に向け追い込みの真っ最中。演目は「CAPPA(キャッパ)」。芥川龍之介の「河童」を、河童と人間が恋に落ちるストーリーにアレンジしました。

「ちっちゃいころから、踊ったり歌ったり、人前で何かをしたりするのがすごく好きでした」。熊本大学を卒業後、ミュージカルの舞台女優を夢見て単身、東京へ。劇団四季に入り「赤毛のアン」などに出演しました。「でも、心の底ではやっぱり私は熊本がとても好きだったんですね」。

4年前に劇団四季を退団し、小松野さんは熊本に帰りました。ミュージカルになじみが薄い熊本に、本格的な歌やダンスを届けたいという一心から劇団を旗揚げし、この2年間活動を続けてきました。熊本地震が起きたのは、順調に観客も増え、ようやく軌道に乗りかけてきた時でした。

0209shikiB.jpg益城町にある小松野さんの自宅は全壊。「一瞬にして本当に世界が変わっちゃった。こんなことってあるんだなって」。 続く余震への恐怖や避難生活に精一杯の毎日が続き、歌う気力が消えていました。「この空気のなかで陽気になってはいけないんではないかという思いもあり、自分の中で余裕がなくなっていた」という小松野さんを舞台に連れ戻したのは、演出を担当している亀井純太郎さん(39)でした。

地震から一週間後。亀井さんに説得され、ステージに上がった小松野さんを待っていたのは、自分と同じように地震を経験した熊本の人たちの拍手でした。 「私の方がお客様に元気にしていただいた。役者としてやっていこうという覚悟をここで決めようと思いました」。小松野さんが目指すのは「地産地消ミュージカル」。出演、脚本、演出、衣装...総勢72人のスタッフすべてが熊本にかかわっています。

「とにかく面白いものを作るっていうことをやりたいし、熊本でくすぶってる才能、エネルギーを持った方って本当にたくさんいます」。地震を乗り越え歌い続けることを決めた小松野さんは「熊本の熱がこもったエネルギーいっぱいのミュージカルにしたいなと思っています」と、被災した自分たちだからこそ伝えられる希望を歌に託します。

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