スポーツエアロビック、技術・精神・音楽が一体となった表現スポーツです。 日本では600人の愛好者がいます。その世界でひときわ会場から熱い視線を送られた少年がいました。 大村詠一くん、15歳高校1年生です。
大村くんが朝一番にしなければいけない事は、インスリンの注射。 彼はインスリン依存型の糖尿病です。 体内で血糖値のコントロールができないためえ、一日に6回インスリン注射を打たなければなりません。
エアロビック教室を開く母親の影響で、4歳からエアロビックを始めた詠一くんは、その楽しさがわかりかけてきた小学2年生の冬、糖尿病が発病しました。
急激に血糖値が上がらないよう、好きなものを好きなだけ食べる事も許されない。運動して血糖値が下がったら、練習の合間にパンを少しずつかじる。 練習場の脇には、思い通りにならない自分の体に悔し涙を流す、当時中学一年生の詠一くんの姿がありました。
糖尿病患者には、ハードなエアロビックは無理なのか。詠一くんのお母さんは、練習中何度も倒れる我が子に、「体力がないんじゃない?」 でも本人は病気で倒れるという事をわかっていただろうと過去を振り返ります。
今、詠一くんは、自らがインスリン依存型糖尿病患者でもある医師に治療を受けています。 先生自身の経験を生かした指導と治療で、彼は心も体も大きく成長しました。
エアロビックの全国大会が迫り、練習はいつも以上に厳しく、ハードになります。しかし、高校生になった彼は、練習中倒れそうになっても、逃げ出したり、泣き出したりはしません。 糖尿病の限界を超え、自分の限界を超えて踊り続けます。
詠一くんを指導する山本コーチは大村くんについて、「病気で人に比べて苦しい事が多いが自分自身で対処できるようになった。病気と闘う強い精神力が彼の個性になってプラスになっている。でもいつ倒れるかは、常に心配です。」
全国大会当日、各地から予選を勝ち抜いてきた強豪ばかり。 気持ちが高ぶり、激しい練習を続けたせいで、低血糖に陥り体が動かなくなってしまいました。 詠一くん 「きつい。やばい・・・・。」
急きょ、チョコレートやジュースで糖分を補うと、量が多すぎて高血糖に。インスリン注射で血糖値を下げます。 さらにこの後、練習中に左太股の関節を痛めてしまいます。
しかし、彼の戦いはまだ終わっていません。地元熊本で開催される全国大会では大人も交えた一般の部に出場します。 スポーツエアロビックの技の中にはAからGまでの難易度がありますが、この大会ではG何度を中心に演技を組み立てています。