参院選

熊本選挙区 自民現職の松村氏が野党統一候補の阿部氏らに大勝 

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7月10日に投開票が行われた参院選の熊本選挙区(改選数1)は、自民党の現職で公明党が推薦する松村祥史さん(52)が、無所属の新人で野党各党が推薦する阿部広美さん(49)、幸福実現党の新人、木下順子さん(57)、諸派で政治団体「支持政党なし」の新人、本藤哲哉さん(62)に大差をつけ、3度目の当選を果たしました。投票率は51.46%と、これまで最低だった前回を下回り、過去最低となりました。

松村さんは3期目をめざし、熊本地震で補正予算のスピード成立に尽力するなど与党議員としての実績をアピール。防災服を着た選挙戦で熊本地震からの復旧復興を前面に掲げ、与党の支持母体の集票力を武器に組織選挙を展開しました。民進党や共産党などの政党と市民団体が野党統一候補として擁立した阿部さんは、安保法制を批判し、地震で苦しむ人に寄り添う姿勢を強調しましたが、支持を広げることができませんでした。

160710hujiki-1.png160710ogawa_R.jpg比例代表では自民新人でJAかみましき前組合長の藤木眞也さん(49)(嘉島町、写真左)と、同じく自民新人で日本理学療法士協会副会長の小川克巳さん(64)(熊本市北区、写真右)がともに当選しました。

藤木さんの公式ホームページは yubiyubi.png こちら

小川さんの公式ホームページは yubiyubi.png こちら

15.jpg「18歳選挙権」最初の選挙

 今回の参院選は、2015年6月17日に成立した改正公職選挙法の施行(2016年6月19日)によって、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられる最初の国政選挙としても注目されます。選挙権年齢が引き下げされるのは実に70年ぶり。全国で約240万人、熊本県内では約3万人が新たに有権者に加わりました。県選管が発表した18歳の推計投票率は40.79%、19歳は35.83%で、全体の投票率(51.46%)を下回りました。

選挙権年齢を引き下げれば、若年層の政治への関心や政治参加意識が高まる効果が期待できます。 日本では少子高齢化で有権者に占める高齢者の割合が上昇しており、年齢層の高い世代が好む政策が優先されやすくなっているという指摘もあります。しかし、年金の増額や高齢者の医療費負担の削減といった政策にかかる財源は若い世代の税金で賄われます。税金では足りずに不足分を国が借金すれば、その負担も将来、増税という形でさらに若い世代にツケ回されます。若い世代はそれでいいのか、若年層の意見をこれまで以上に政治に反映させることが必要になってきているわけです。 

世界の9割以上の国が18歳以上に選挙権を認めており、「18歳選挙権」は世界の流れでもあります。人生最初の選挙に行くかどうかは、その後の投票習慣を養う上でも大きな意味があります。

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しかし、熊本県内でも若者の選挙に対する関心は高いとは言えません。県選管によると、2013年7月の参院選、2014年12月の衆議院選挙の年代別推計投票率で、20代はともに3割に届いていません。特に前回参院選での20~24歳の推計投票率はおよそ20%にとどまっています。今回の参院選では選挙権が70年ぶりに引き下げられたことが大きく報じられましたが、推計投票率は18歳、19歳ともに全体の投票率を下回りました。

160318wakamono_R.jpg若者の政治離れに危機感を抱く地元の大学生は、「わさもんジャパン」という団体をつくって活動していますが、2016年3月の知事選を前に開いた公開討論会では、チラシ配布やSNS(インターネット上の交流サイト)で若者の参加を呼びかけたにもかかわらず、出席者およそ400人のうち20代は20人ほどにとどまりました。

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熊本大学法学部の鈴木桂樹教授(写真右)は、「若い人が政治の舞台に入ってきてくれることはこれまでにない新しい感覚。この刺激が政治の側に入ってくる」と期待しますが、一方で「世論調査等でも(投票率が)あまり伸びないのではないかという懸念が示されている」と危惧します。「若い人は生活体験が少ない。その分だけ身につまされるような課題というのがなかなか出てこない。出てきたとしてもそれと政治がどうつながっているか、なかなか見えて来ないのもあるかもしれない」と、その理由を分析します。そのうえで「何か基準があって政治を判断するのではない。自分自身で考えて、自分自身の物差しをつくって自分自身で判断する作業をぜひやってほしい」とアドバイスしています。

県選管は高校生を対象に「投票のしかた」や「選挙の仕組み」について学べる機会をつくってきました。2016年3月の知事選でも複数の高校が模擬投票を実施しています。模擬選挙公報の配布、演説会や公開討論会、政策に関する生徒と候補者役の大学生の質疑応答などを経て、模擬投票用紙を使用して投票もする「本番」さながらのものでした。

15.jpg18歳でも選挙違反は処罰の対象に

生徒の指導にあたっては、政治的中立性を確保することが必要です。文部科学省や県教委は、教員が個人的な主義主張を述べないこと、多様な見方や考え方、利害が対立している問題は、さまざまな見解を提示すること、教員は特定の政治的立場に立って生徒に接さないことなどを求めています。

一方で、18歳や19歳が買収などの重大な選挙違反を犯した場合は、成人と同様に処罰の対象になることも知っておく必要があります。友人らにジュースをおごったり、掃除当番を引き受けたりする見返りに、特定の候補への投票を依頼したりすると、買収にあたる恐れもあります。また、選挙期間中は18歳未満の選挙活動は禁止されていますから、下級生に命じて特定候補を応援させるといった行為も禁止されています。

生徒が拡声器を使って特定候補の応援演説をするといった政治的活動は、学校の敷地内では原則として許されません。学校では高校生として校則などの決まりを守る必要があるからです。今回の参院選ではあまり問題になりませんでしたが、集会等に参加する際に学校に届けを出すことが必要かどうか、学校の敷地から一歩出た校門の前で政治活動を行うことはどうなのか、といった事例が今後、問題になるかもしれません。 

広瀬すずさんが18歳選挙権を紹介する総務省の特集ページは yubiyubi.pngこちら

わさもんジャパンのホームページは yubiyubi.png こちら

15.jpg将来、熊本選挙区の合区はあるか

saninmkakusa.jpg参議院は3年ごとに半数づつ改選され、都道府県別に少なくとも2議席づつ割り振っているため、衆議院より格差を縮めにくいといわれています。しかし、都道府県単位の選挙区でも大きな格差は「違憲状態」というのが最高裁の考え方です。今回の参院選についても、一票の格差が十分に解消されないまま行われた選挙は違憲だとして、弁護士グループが全国で一斉提訴し、45選挙区すべての選挙無効を求めています。

昨年7月に国会で成立した改正公職選挙法で、今回の参院選から「10増10減」の定数見直しが行われました。①隣接する選挙区を合わせて一つとする「合区」を、鳥取と島根、徳島と高知で初めて導入し、それぞれ定数を2(改選数1)減らす②宮城、新潟、長野で定数を2(改選数1)を削減し、1人区とする③北海道、東京、愛知、兵庫、福岡で定数を2(改選数1)増やす――がポイントです。

しかし、最新の国勢調査結果で計算すると、議員一人当たり人口から計算した最大格差はなお3倍を超え、福井選挙区の1票は埼玉選挙区の3票超に相当し、格差是正のためにさjらなる改革が求められる状況です。改正公選法では、2019年に予定される次々回参院選に向けて「選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討し、必ず結論を得る」とも明記しました。

熊本では衆議院議員の選挙区で定数1(5から4へ)の削減が決まっていますが、最新の国勢調査果をもとにすると、参議院では福井選挙区の1票は熊本選挙区の2票以上となっており、どちらかといえば1票の価値は全国平均より「軽い」部類に入ります(右表参照)。ただ、熊本選挙区の定数は2001年7月の参院選から4から2(改選数1)に減っており、今後も人口が減り続けるなら、隣接選挙区との合区も現実味を帯びてくるでしょう。


衆議院の1票の格差問題は yubiyubi.png こちら

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