熊本城と加藤清正

知事選 未来の選択!   水俣病問題     2016年3月16日放送 

熊本県知事選にあわせて県政の課題を探るシリーズ「未来への選択!」で、水俣病問題を取り上げました。今年5月、公式確認から60年を迎える水俣病問題は、まだたくさんの問題を抱えています。

問題のひとつは「水俣病の認定制度」です。水俣病は国の基準に基づいて県の認定審査会が患者かどうかを判断し、認定されると1600~1800万円の慰謝料と療養手当、医療費が支払われます。しかし、患者と認める基準は厳しく、これまでに水俣病の症状を訴えて2万1664人が申請をしていますが、認められたのは1787人にとどまっています。なお1243人が認定結果を待ち続けている状態です。

国の厳しい認定基準をめぐっては、これまでに何度も裁判が起こされてきました。最高裁が2013年の「溝口訴訟」判決など過去に2度、国の基準より緩やかに水俣病と認めたにもかかわらず、国の基準が大きく変わる状況にはありません。これに対し、患者として認めてほしいと求める人たちが裁判を続けています。「第2世代訴訟」の佐藤英樹原告団長は、「もう少し水俣病のことをしっかりと受け止めて、加害者としての責任を明確にしてほしい。いま審査会が開かれても、ほとんどの人が棄却になっている」と話します。

行政は患者としては認めないものの、「一定の被害があった」として被害者救済事業を講じてきました。 しかし、年齢や居住地域で線引きされ、救済事業からも漏れた人たちがいました。救済を求める被害者の提訴が相次ぎ、原告数は1000人を超えています。いったい何人がメチル水銀の被害を受けたのか...。全容を明らかにするための健康調査を求める声も上がっています。

一方、水俣病患者と認められた人たちも、将来への不安を抱えながら生活しています。胎児性水俣病患者の松永幸一郎さん(52)は、5年前まで自分の足で歩いていましたが、今は車いすで生活しています。松永さんは「自分がどうなるのかがわからないし、このままずっとこの状態でいければいいけど、これ以上悪くなって寝たきりとかになれば、本当に介護が必要になる」と訴えます。

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環境復元の問題もあります。1990年(平成2年)に完成した埋立地は、県が水俣湾に堆積(たいせき)していたメチル水銀を含んだヘドロを浚渫(しゅんせつ)し、この場所に埋め立てました。広さはおよそ58ヘクタールで、現在は公園として整備されています。完成から25年以上がたった今、この埋立地の安全性を疑問視する声があがっています。

水俣の暮しを守る・みんなの会の山下善寛事務局長は「液状化の問題や、大きな津波がきたら耐えられるのか、という問題があると思います。(ヘドロ埋め立ては)暫定処理だから、抜本的な対策をとらないと、ずっと補修とか検証をしていかないといけない。次世代にツケを残すと思う」といいます。

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水俣病の問題に対して、知事選の3候補は次のような政策を掲げています。

3.16minamata-tera_R.jpg「間違った行政区域による線引き、これを改めない限りにおいては水俣病問題は解決しない 。それを改めるために健康調査が必要なんです」

寺内大介候補(50)は、水俣病被害の全容を明らかにするため、住民の健康調査が必要だと訴えています。国に実施を強く求め、それが実現しなければ県単独での実施も視野に入れています。

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3.16minamata-kaba_R.jpg「少なくとも私の次の任期中には、昨年ぐらいまでに認定申請をされた方を、すべて審査を終了したいなと思ってます」

蒲島郁夫候補(69)は、迅速な救済を進めるため、認定審査を次の任期中に完了させると話しています。また、胎児性患者などの生活支援の充実、健康調査の実施を国に求めるとしています。

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3.16mminamata-kou_R.jpg「溝口訴訟の最高裁判決、これを完全に実施していくということがとても大事だと思っている」

幸山政史候補(50)は、行政の厳しい判断基準を批判した司法の判断に従って、認定審査を進めるべきだと訴えます。また、健康調査は必要だとして県がやることも含め対応を考えるとしています。

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