熊本地震の記録

被災者の声に寄り添う 傾聴ボランティア         2017年3月1日放送

170301keicyouA.jpg熊本地震で傷ついた心を癒すため、被災者の声に耳を傾け、気持ちにより添うボランティアが地道な活動を続けています。

熊本市中央区にある熊本託麻台リハビリテーション病院。2月26日に訪れたのは、福岡県久留米市にある聖マリア学院大学看護学部の学生たちです。学生たちが2016年6月から取り組んでいるのが傾聴ボランティアです。

病院には地震の直後、収容できる人数の5倍もの人が押し寄せ、廊下にまであふれました。ふだんリハビリに使う部屋でも避難者たちが身を寄せ合いました。病院の職員は避難者たちとの対応に追われ、患者と向き合う時間も少なくなりました。

福岡から駆けつけたボランティアが患者の声に耳を傾けると、ある変化が出てきたといいます。

「最初は少し固まって緊張しているようだったが、話すうちに表常も緩んで笑顔も増えてこられたかなと」

平野好文理事長は傾聴ボランティアの意義について「一番は私たちに話さないようなことまで話していただける(こと)。私たちも忙しそうにしているので言いづらいわけですよね。お互い地震に遭っているという被災者同士ですから」と話します。

学生たちの話し相手は患者だけではありません。2017年2月26日に話をしたのは現役の看護師たちでした。

「立っていられないほどの揺れと、電気はつかないし、ああ家がつぶれる、早くでないといけないという思いで、とてもあわてていたのを覚えています」「病院の方が絶対安全だと思い、すぐに駆けつけることもせず、自分のことしか考えていなかった。看護師失格だなと反省しました」「みんなが大変なときにこれなかったのが、とても気が引けるというか」

家族の安否確認などを優先し、病院に駆けつけなかったことへの後悔――。患者を支える看護師たちも、地震によるストレスや不安を抱えていたのです。

「いままでは口にするのも悪いなという感じで誰にも言えなかった。ちょっ消化できた。すっきりした」「いろんなひとに助けられたので感極まるところがあって、(当時のことを文章に)書いていると涙が出てくる。思い返してみると地震は大きな影響があったんだなと感じます」

平野理事長は「スタッフもいわずに我慢していたところがある。心にふたをしているというのはストレスが高まるということなので、開放してあげる意味ではいいのかなあと思います」と述べています。

同僚にも話すことがなかった被災体験。看護師たちは「家族が無事であったこと、住める家があるということ、こうやって仕事ができているということ。大げさかもしれないがこうして過ごせることがとても幸せです」「思い出すことで怖いという恐怖心もあると思いますが、被災していない私たちにも知ってもらいたいという思いで教えてくださったのかなというのがあったので、私もこの経験を生かしていろいろな人に広げていけたらいいなと思う」と話しています。

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