熊本地震の記録

人件費上昇で契約不調が急増 国や県が対策       2017年6月2日

170602koujijouhourennrakukaigi.jpg人手や資材の不足で熊本地震の復旧工事の契約が不調に終わるケースが増えていることから、行政と業界の関係者が2017年6月2日、国や県、市町村、建設業界の関係者ら約200人が出席した会議が開かれました。

人手や資材の不足は今後も続くとみられることから、会議では、工事に優先順位をつけて発注すること、費用の見積もりで県外から人手や資材を確保する経費を上乗せする際の手続きを簡素化すること、などを申し合わせました。

国土交通省によると、2016年度には県内で1万995件の公共工事の発注がありましたが、1割以上の1132件で契約が成立しませんでした。契約不調の件数は熊本地震前の2015年度の10倍、復旧のための工事が増えた2013年の九州北部豪雨の2倍近くに達しています。

* * *

国土交通省は2017年2月1日契約分から、熊本地震からの復旧・復興を進めるため、公共工事の予定価格を決める根拠となる算定基準を変更しました。具体的には、公共工事の費用を見積もる際の土木作業員の1日あたりの標準作業量をこれまでより2割減らします。また、足場や通行規制のバリケード、作業員の詰め所などの資材や重機、ダンプカーの確保がしにくくなっていることから、工事完了後は撤去される仮設機器のレンタル費用や、工事現場の維持管理費を1割引き上げます。国交省が基準を変えるのは東日本大震災以来です。

170602kouji1.jpg標準作業量を2割減らすのは、復旧・復興工事に携わる作業員の作業効率が、資材や機器の不足によって下がっているからです。

例えば、地震でがけが崩れて落ちてきた100トンの土砂を取り除くとします。ひとりの作業員が1日で1トンを取り除けるとすると、10人が10日で取り除くことができます。ところが、ダンプカーが確保できないと、10人で1日かけて10トンの土砂をかき出しても、その土砂を別の場所に運ぶダンプカーがないと、土砂は現場近くの道路わきに積み上げられたままになります。

取り除いた土砂を積み上げておく場所がなくなれば、作業は止まってしまいます。ダンプカーが来ないために作業が3日遅れれば、3日分の作業員の人件費が増えます。こうしたケースがいま、頻発しているのです。

170602kouji2.jpg国や地方自治体が予定価格を決める算定基準であらかじめこの分の人件費を加味できなければ、予定価格が低すぎて、業者は札を入れようとしません。国交省の担当者は「業者も熊本の復旧・復興に協力するとして、利幅が薄くても引き受けてくれています。しかし、さすがに赤字になることが分かっている工事には札を入れてくれません」と話します。

あらかじめ算定基準で作業員の効率を引き下げれば、予定価格を上げて契約不調件数を減らることにつながります。事業者が作業員にサービス残業を強いるといった事態も防げるかもしれません。

一方で、業者が公共工事を多く引き受けるようになれば、工場や店舗の再建といった民間の工事の引き受け手が減ることも考えられます。民間の工事で作業員に払う日当も高くなり、予算不足で工事を延期したり再建を断念したりするケースが出てくるおそれもあります。

(文章と写真は関係はありません)

エントリー