熊本地震の記録

店と自宅を失った女性理容師 仮設団地で「交流の店」再開   2016年10月13日放送

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経営していた理容室と自宅を熊本地震で同時に失った1人の女性が、仮設団地に店を再開させました。

理容師の吉本洋子さん(63)は、仮設住宅で建設業を営む夫と2人で暮らしています。地震の前には益城町に理髪店を持ち、客のほとんどは顔なじみの近所の人たち。吉本さんとの会話を楽しみに訪れる人も多くいました。

161013tokoyaB.jpgのサムネイル画像のサムネイル画像しかし、地震で理容室の建物は傾き、中に入ることはできなくなってしまいました。さらに地震から2か月がたった7月、傾いた店は無残にも崩れ落ちてしまいました(写真左上が地震直後、下が7月の店)。「お店はもうあきらめるしかなかった。夢にも思わないことでした」という吉本さん。家も大規模半壊とされ、自宅と理容室を同時に失ったときは「気持ちが空洞になる感じもあった」といいます。

吉本さんは「地震ですべてを失ったからこそ、同じように傷ついたお客さんの気持ちを和らげることもできる」と考えました。

思い出が詰まった理容室の建物にはハサミや鏡などの商売道具が残ったままでしたが、吉本さんは理容師の組合から必要な道具を借りて、仮設住宅の中で店を再開させることにしました。

昔からの常連客は「いきつけでないと。やっぱり奥さんがよかですよ」と、仮設の店を訪れてくれます。吉本さんは、聞かれればつらい体験もいとわず話します。常連だった人が訪れてくれる一方で、仮設団地に顔なじみの人はほとんどいませんが、それはほかの入居者も同じ。吉本さんは「(かつて)近所の人が(団地に)いても会うまでわからず、お互いにここだったのって(驚く)ことも。お店を髪を切るだけでなく、仮設団地で暮らす客同士が交流できる場にしたいと考えています」と話します。

仮設住宅には、18年間腕を振るった理容店の看板(写真下)が大切に保管されています。

「宝物ですよ。これがあったから今までも張り合いがあったし、今からも張り合いを持ってやっていきたいと思います」

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