熊本地震の記録

記憶を記録に残す帯山地震体験記 「怖かった」で終わらせない  2016年9月14日放送 

160914sassiA.jpg行政や報道機関に頼らず、地震で被災した記憶を記録に残している人がいます。「熊本地震体験記集」という冊子を作ったのは、熊本市中央区帯山に住む浅田興司さん(75、写真上左)。住まいの帯山校区(写真上右)は、地震から5か月がたってもブルーシートが目立ちます。帯山地区では地震前から住民の防災への意識が高く、地震を想定した避難訓練を行ってきました。

4月の地震では住民たちが独自の災害対策本部「チーム帯山」を組織し、炊き出しやひとり暮らしの高齢者の支援活動に奔走しました。浅田さんは「(訓練とは)相当違いました。でも訓練で『ここが集まる場所だ』と知っていたために、みなさんそこに行かれた。そこは(訓練していて)よかった」と振り返ります。

浅田さんは地震から1か月たって、記録を残す取り組みを始めました。「今まで体験したことがないような大きな災害の時に、(支援を)一生懸命やっている瞬間は何もかも忘れてやるが、落ち着いてしまうとだんだん記憶が薄れて、最後はただ『怖かったな』で終わってしまう。それではもったいないなと(考えた)」。

地震直後の行動は?避難所でどんな支援をしたのか?--浅田さんは地元の民生委員などひとり一人に当時の様子を教えてほしいとお願いしました。続々と集まった35人分の原稿。パソコンが得意な浅田さんは、原稿の校正から製本まで1人で行います。冊子には浅田さん自身の行動も記されています。

「4月17日。ブロック塀がいたるところで倒れ、車での避難の障害になる。全部写真に撮り町内地図に貼り付け作業をした」。翌日土木センターにこの地図を持っていったところ、21日には撤去されたそうです。浅田さんは「3日できれいにしてくれた、こういうことは素早くやったことは非常に良かった」と浅田さんは言います。一方で、冊子には「指揮を執る人、司令塔がいなかった」「各指定避難所に井戸の整備を」「車中泊で避難されている人たちも十分な物資が渡るようにしないといけない」など、さまざまな課題も記されています。

160417sasshiB.jpg体験談を寄せた人たちは「その時の思いと落ち着いてからの思いというのが違うんですね」「ああ、こうだったんだって、実際忘れていることもあった。やっぱりこういうのって必要だなと思う」「最初は(体験談を)出し渋っていた人も、できた冊子を見てよかったと言っていました」と話しています。

県外からの増刷依頼も相次いでいるといい、浅田さんは「校区でもんもう一回きちっとした形で記録をまとめ、地域としてどう対応していくか、さらにやっていく必要がある」と考えています。「役に立つ資料の一部。これが結果ではありませんので、これを見ながらどうしたらいいか、みなさんそれぞれに感じてもらったらいい」。この冊子は熊本市立図書館などで読むことができるということです。

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