化血研 不正と迷走

厚労省「承認外の製法でワクチンを製造」 化血研「不正はない」  2016年12月2日

161004kaketumata.jpg厚生労働省は10月4日、化血研が日本脳炎ワクチンを国の承認と異なる方法で作っていたとして、医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づく行政処分を行いました。処分は今回で2回目です。承認外の方法で製造していた経緯について、化血研から報告や弁明を聞いたうえで、再発防止策や改善計画を提出するよう求める業務改善命令を出す方針です。

日本脳炎ワクチンは、国の承認書では放射線照射などでウイルスの感染力や毒性を失わせる処理をした原料を使うこととされていましたが、厚労省によると、一部で未処理の原料が使われていたということです。厚労省はワクチンの品質や安全性に問題はないとしています。

化血研は日本脳炎ワクチンの承認内容と実際の工程に「軽微な食い違い」があると同省に報告していましたが、不活化していない原料を使っていることついては報告していませんでした。厚労省は9月6、7日に化血研へ抜き打ちの立ち入り検査をして違反を確認したとしています。

厚労省はインフルエンザワクチンなど、化血研が製造・販売する全ての製品(35製品56品目)について、同様の問題がないか確認・報告することも命じました。「化血研の品質管理に対する信頼をさらに損なう由々しき事態。迅速かつ誠実な対応がとられなければ医薬品製造販売許可の取り消し処分に進展する可能性がある」と、化血研を強く批判しています。一方、遺伝子組み換えの大腸菌などを使う施設では、国への申請と異なる材質の配管をするなどしていたとして、文書で厳重注意しました。

これに対して化血研は「承認書の記載の一部が正確ではなかったため、立ち入り検査の前から厚労省に報告し、対応を協議していた。前提となる事実関係に一部誤認があると考えており、追って詳細な弁明をしたい」とコメントしました。厚労省で命令書を受けた木下統晴理事(上写真左、下写真左端)は、「負の遺産は確実に改善していく。(化血研は)みなさんが思っているほど悪い会社ではない」などと話しました。木下理事は1年前、化血研の不正を糾弾した第三者委員会のメンバーです。

161018kaketuhanron.jpg報告期限となる10月18日、化血研は厚生労働省に報告書と弁明書を提出するとともに熊本市の本社で記者会見を開き、厚労省が指摘する日本脳炎ワクチンの不正な製造や隠ぺいについて「行っていない」と強調。「放射線を当てていない血清を使うことは承認書に明記し、厚労省の承認を得ている」と説明しました。化血研側の弁護士は「かなり具体的に当時の厚労省の審査状況を話しているので、業務改善命令は出されないだろうと信じている」と述べました。

厚労省は化血研に対し、日本脳炎ワクチン以外のすべての製品の製造方法を確認して報告するよう命じ、化血研は12月2日、インフルエンザワクチンや血液製剤など35製品について、国の承認と異なる方法で製造していないかどうかを確認した報告書を提出しました。厚労省は、今後化血研に立ち入り調査を行い、「不正はなかった」とした日本脳炎ワクチンの弁明書とあわせて、業務改善命令を出すかどうか検討する方針です。

厚労省はアステラス製薬を念頭に、ワクチンや血液製剤の製造・販売などの事業を他の企業に譲渡するよう迫っているのに対し、化血研は事業継続を求めており、行政処分を事業譲渡をめぐる両者の対立状態はまだ続いています。

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