化血研 不正と迷走

「常軌逸した隠ぺい体質」 厚労相は"解体"迫る 

kaketsu2_R.jpg化血研(化学及血清療法研究所)は、旧熊本医科大学(現在の熊本大学医学部)の研究所を母体に、1945年に設立された一般財団法人です。インフルエンザや日本脳炎、肝炎などを防ぐワクチンや、人の血液を原料にした血液製剤などを製造しており、約1900人の従業員を抱え、売上高475億円(2015年3月期)にのぼる熊本有数の大会社です(写真は製造風景、化血研提供)。

医薬品は法律で、医薬品を監督する厚生労働省が、効き目があり、安全と認めた方法でつくることになっています。しかし、化血研は血液製剤を作る際に、勝手に血を固まりにくくするヘパリンという物質を加えたり、殺菌する時間を変えたりしていました。

 厚労省は医薬品メーカーが製造方法をきちん守っているか定期的に調べていますが、化血研は国が査察に来たときには、うその製造記録を見せてごまかし続けてきました。

こうした不正は1974年(昭和49年)ごろから始まり、40年以上続けられていました。その間に内部からは「これ以上不正を続けてはいけない」という声が出た時もありましたが、結局うやむやになってしまったそうです。

kaketsu3_R.jpg15.jpg薬害エイズの教訓生きず

化血研は1980年代に、熱を加えずに作った血液製剤を使用した患者さんがエイズウイルスに感染した薬害エイズ事件をめぐり、被告企業の1つとして訴えられていました(写真は当時の抗議の模様)。この裁判は1996年に和解が成立しましたが、化血研は和解にあわせて「安全な医薬品を供給する義務を深く自覚し、同じことを二度と繰り返さない」と誓っていました。しかし、その誓いの裏で、当時も不正は続けられていました。

化血研で不正が大がかりに行われた時期は、薬害エイズ事件を受けて、製薬メーカー各社が血液製剤を非加熱から加熱に切り替えていた時期と重なります。国の要請にしたがって加熱製剤を増産するためなら、製造方法を少しくらい変えてもいいだろうと考えたのかもしれません。しかし、最初に始めた不正をごまかすために次々にごまかしやでっちあげを重ねた結果、不正はやめることができなくなってしまいました。結局、不正の連鎖は昨年5月に厚労省に内部からの告発が寄せられて発覚するまで続き、薬害エイズ問題の教訓が生かされることはありませんでした。

kaketsu4_R.jpg15.jpg明らかになった隠ぺいの手口とは

不正を調べた第三者で作る委員会は不正の経緯などについて報告書(写真左)をまとめ、化血研は2015年12月に公表しました。そこには化血研が組織ぐるみで不正を隠ぺいしていた驚くべき手口を詳しく記しています。

国の承認内容に沿ったうその記録部分にはゴシック体を、査察の際に隠す部分は明朝体で記載し、国の査察に対して見せる内容を変えていました(下写真左)。公にはできない本当の製造記録については、「2.5ページ」などとして記録にはさんでおき、査察の際はこの部分を引き抜いていました。(同中)過去の製造記録を書き直す際には紙を古く見せるために紫外線をあて、承認欄には筆跡が似ている人にサインさせたりしていました(同右)。国の承認に沿った想定問答集を作成し、査察に対する予行演習まで行っていたそうです。

隠ぺい工作が本格的に行われた時期は、薬害エイズ事件の反省から、薬害の原因となった非加熱製剤を加熱製剤に切り替える時期と重なります。歴代の理事長ら幹部は隠ぺいを認識しながら放置していました。第三者委員会は報告書のなかで、「化血研には常軌を逸した隠ぺい体質が根付いていたと言わざるを得ない。問題の根幹は研究者のおごり」と断罪しています。

化血研の宮本誠二理事長は、「そういうことがあるというのは十分認識しておりました。化血研の風土と言いますか、そういう事に対して積極的に対応してこなかった」と、組織ぐるみの隠ぺいがあったことを認めました。

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15.jpg見えぬ再生の道筋

このほかに、化血研は動物用のワクチンを国の承認とは異なる方法で製造し、猛毒のボツリヌス毒素を必要な届けを出さずに車で運んでいたことも明らかになりました。

kaketsu5_R.jpg製造したワクチンや血液製剤などの安全性には問題はないとされていますが、子どもにワクチンを接種するお母さんなどからは不安の声が出ています。一方で化血研でしか作れない医薬品も多く、厚労省の処分で製造が止まることを心配する医療関係者もいます。

塩崎厚生労働相は「医薬品の製造販売の許可取り消しに相当する悪質な行為だ」と化血研を厳しく批判し、解体も含む抜本的な組織の見直しを求めました。しかし、厚労省が主導する形で進めてきた大手製薬メーカー、アステラス製薬との事業譲渡交渉は破談に終わり、化血研再生の道筋はまだ見えません。

2016年6月には組織の体制見直しを図るために、近畿大薬学総合研究所長だった早川堯夫氏を理事長に迎えるなど体制を一新しましたが、あくまで他の機関への事業譲渡を求める厚労省と、単独での生き残りを図る化血研の対立が激化し、2017年5月には早川理事長が就任後1年足らずで退任するなど、経営の迷走が続いています。

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2期連続最終赤字 評議員会で報告        2017年6月27日

170627kaketu.jpg化血研は外部の有識者らで構成する評議員会を開き、席上2016年度は約92億円の赤字だったことが報告されました。同じく赤字だった前年度より赤字額が約60億円増えました。営業利益、経常利益はともに黒字でしたが、熊本地震の被害などで約132億円の特別損失を計上したことが影響したということです。

木下統晴理事長は挨拶の中で「1900人の従業員が熊本の地でこれまで通り事業を営むことができるということを最優先として、幅広く話を聞き、最善の道を探っていきたい。現段階で具体的なオファーは受けていない」と述べたということです。

2016年秋の体制刷新後初めて開かれた4月7日の評議員会では、早川尭夫理事長ら執行部が、不正製造による出荷停止処分や熊本地震の影響で2016年度(2017年3月期)の最終損益が赤字になる見通しを示しました。化血研の最終損益は2015年度(2016年3月期)も32億円の赤字となっており、2期連続の赤字になるのは初めてです。

厚生労働省が求める事業譲渡は依然めどが立っていない状況ですが、化血研は「このまま単独で存続した場合でも、2017年度は黒字を確保できる」としています。3期連続の赤字になれば、金融機関から新規融資を受けるのが難しくなり、経営に制約が出かねないことになります。

評議員会ではこのほか全国の専門家でつくるアドバイザリーボードを設置し、近く初会合を開くことを明らかにしました。

新理事に弁護士を選出 改革姿勢アピール            2017年6月18日

170618kaketuken_R.jpg化血研は木下統晴新理事長の下で初めての臨時評議員会を開き、弁護士の野口敏夫氏(72)を新しい理事に選びました。野口氏は熊本大学理事や県弁護士会会長、九州弁護士会連合会の理事長などを歴任しました。化血研の理事に弁護士が選ばれるのは初めてで、不祥事が続いた化血研の改革を内外に印象付ける狙いがあるものとみられます。

木下理事長は「野口弁護士を理事に迎えたことで、さらなる企業統治機能と法令順守(コンプライアンス)体制の強化が期待できる」とコメントしました。

木下新理事長「体制見直し進める」蒲島知事に報告     2017年6月8日

170608sinrijicyou.jpg突然のトップ交代で2017年5月30日に就任した化血研の木下統晴新理事長(写真左)が県庁を訪れ、「体制の抜本的見直しを進める」と蒲島知事に報告しました。記事との面会後、木下新理事長は記者団に対し「熊本の地で分画製剤、ワクチン製剤、動物薬の3つの事業を継続していく。その実現に向けて社会との関係を再構築し、一歩一歩健全化のプロセスを進めていく」と語りました。

突然のトップ交代の理由については「申し上げることはできない」としましたが、「早川前理事長は一般財団法人という形を考えていた。私はもう少し幅広くいろんな方向性があると思っている」とも述べ、交代の背景に事業譲渡のあり方をめぐる方針の違いがあったことを示唆しました。そのうえで事業譲渡について「新しい体制では出来るだけ早くしていきたいとは思っている」と述べ、組織の形態にこだわらず、前向きに交渉を進める考えを示しました。

蒲島知事は「健全化のプロセスを進めるにあたっては、厚生労働省のコンプライアンス体制とガバナンス体制を見直す指導を真摯に受け止めることは望ましい方向と考えている。化血研が再生して雇用を守り、研究者の受け皿となり、熊本で本社機能を発揮することは多くの人が望んでいる」と述べました。事業譲渡については「きょう話があったわけではないが、健全化のプロセスの中で処理されていくのではないか。時間をかけない方がいいと思う」と話しました。

早川理事長突然の辞任、後任理事長に木下理事         2017年5月30日

kinosita.jpgのサムネイル画像化血研は2017年5月30日に開いた理事会で、同日付で早川尭夫理事長(75)が辞任し、後任の理事長・所長に木下統晴理事(写真)が就任する人事を決めました。早川氏は就任から1年足らずで理事長を退き、今後、理事も退任する予定です。新たに藤井隆理事(68)が副理事長に就任します。

化血研は早川氏の辞任の理由を「一身上の都合」としています。木下新理事長は明治製菓出身で、血液製剤の不正製造問題を厳しく指弾した第三者委員会のメンバーでした。化血研は「新たな体制で信頼回復に向け、役職員一丸となって健全化のプロセスを進める」とのコメントを出し、蒲島県知事は「新体制の目指す『健全化のプロセス』は望ましいものと考えており、注視していきたい」とのコメントを出しました。

化血研は、国の承認とは異なる方法で血液製剤を製造していた問題を受け、昨年6月、早川、木下両氏ら外部から理事を招いて経営陣を刷新しました。しかし、大手製薬メーカー、アステラス製薬への事業譲渡交渉がとん挫してから、早川氏は経営を刷新したうえで単独での生き残りを目指す姿勢を示し、引き続き他社への事業譲渡を求める厚生労働省との対立が激化していました。

理事会では早川氏が提出した理事の増員案が否決され、専任顧問制度の廃止を決めるなど、早川氏主導の経営体制の見直しも決めています。関係者からは「トップ交代の背景には厚労省と対立を続けるか、融和を図っていくかをめぐる方針の食い違いがあったのではないか」という見方も出ています。

木下 統晴氏(きのした もとはる)熊本大学大学院薬学研究科修了、明治製菓(現Meiji Seika ファルマ)入社。本社薬事・監査部長、執行役員薬品知財管掌総括製造販売責任者などを経て、2012年から薬事コンサルタント。16年6月から化血研理事。68歳。

厚労省「承認外の製法でワクチンを製造」 化血研「不正はない」  2016年12月2日

161004kaketumata.jpg厚生労働省は10月4日、化血研が日本脳炎ワクチンを国の承認と異なる方法で作っていたとして、医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づく行政処分を行いました。処分は今回で2回目です。承認外の方法で製造していた経緯について、化血研から報告や弁明を聞いたうえで、再発防止策や改善計画を提出するよう求める業務改善命令を出す方針です。

日本脳炎ワクチンは、国の承認書では放射線照射などでウイルスの感染力や毒性を失わせる処理をした原料を使うこととされていましたが、厚労省によると、一部で未処理の原料が使われていたということです。厚労省はワクチンの品質や安全性に問題はないとしています。

化血研は日本脳炎ワクチンの承認内容と実際の工程に「軽微な食い違い」があると同省に報告していましたが、不活化していない原料を使っていることついては報告していませんでした。厚労省は9月6、7日に化血研へ抜き打ちの立ち入り検査をして違反を確認したとしています。

厚労省はインフルエンザワクチンなど、化血研が製造・販売する全ての製品(35製品56品目)について、同様の問題がないか確認・報告することも命じました。「化血研の品質管理に対する信頼をさらに損なう由々しき事態。迅速かつ誠実な対応がとられなければ医薬品製造販売許可の取り消し処分に進展する可能性がある」と、化血研を強く批判しています。一方、遺伝子組み換えの大腸菌などを使う施設では、国への申請と異なる材質の配管をするなどしていたとして、文書で厳重注意しました。

これに対して化血研は「承認書の記載の一部が正確ではなかったため、立ち入り検査の前から厚労省に報告し、対応を協議していた。前提となる事実関係に一部誤認があると考えており、追って詳細な弁明をしたい」とコメントしました。厚労省で命令書を受けた木下統晴理事(上写真左、下写真左端)は、「負の遺産は確実に改善していく。(化血研は)みなさんが思っているほど悪い会社ではない」などと話しました。木下理事は1年前、化血研の不正を糾弾した第三者委員会のメンバーです。

161018kaketuhanron.jpg報告期限となる10月18日、化血研は厚生労働省に報告書と弁明書を提出するとともに熊本市の本社で記者会見を開き、厚労省が指摘する日本脳炎ワクチンの不正な製造や隠ぺいについて「行っていない」と強調。「放射線を当てていない血清を使うことは承認書に明記し、厚労省の承認を得ている」と説明しました。化血研側の弁護士は「かなり具体的に当時の厚労省の審査状況を話しているので、業務改善命令は出されないだろうと信じている」と述べました。

厚労省は化血研に対し、日本脳炎ワクチン以外のすべての製品の製造方法を確認して報告するよう命じ、化血研は12月2日、インフルエンザワクチンや血液製剤など35製品について、国の承認と異なる方法で製造していないかどうかを確認した報告書を提出しました。厚労省は、今後化血研に立ち入り調査を行い、「不正はなかった」とした日本脳炎ワクチンの弁明書とあわせて、業務改善命令を出すかどうか検討する方針です。

厚労省はアステラス製薬を念頭に、ワクチンや血液製剤の製造・販売などの事業を他の企業に譲渡するよう迫っているのに対し、化血研は事業継続を求めており、行政処分を事業譲渡をめぐる両者の対立状態はまだ続いています。

アステラスとの事業譲渡交渉打ち切り           2016年10月19日

160408jpg]_R.jpg化血研と国内大手のアステラス製薬は19日、事業譲渡の協議を打ち切ったと発表しました。具体的な打ち切りの理由は明らかにしていませんが、関係者によると、譲渡価格などの条件が折り合わなかったということです。

化血研は、国の承認とは異なる方法で血液製剤やワクチンを作り続けた上、虚偽の報告をしていたとして、今年1月、厚生労働省から110日間の業務停止処分を受け、経営の抜本改革を求められてきました。

塩崎厚労相は、化血研の不正は医薬品の製造販売免許取り消しに該当するとして化血研の事業継続を認めず、他の製薬会社に事業を譲り渡すよう指導。化血研はアステラスにワクチンや血液製剤の事業を譲渡する方向で交渉してきました。

しかし、関係者によると、譲渡価格や譲渡する事業の範囲などをめぐって両者の意見がかみ合わず、熊本地震や化血研の経営陣交代による中断もあって、当初から交渉は難航していました。

161019siozaki1.jpgのサムネイル画像塩崎厚生労働相は交渉打ち切りを受けて19日、緊急に記者会見し、「化血研従業員の雇用を守ることと熊本経済に配慮することは当然必要。その答えは事業譲渡しかない」と述べ、改めて化血研に対し、アステラス以外の企業との交渉を急ぎ、早急に事業譲渡を完了するよう強く求めました。

化血研「現状のまま存続」を希望 厚労相は認めず      2016年9月9日 

160909siozaki_R.jpg化血研が厚生労働省に対し、他の製薬会社への譲渡ではなく、現状の化血研のまま存続をめざしたいと伝えたことがわかりました。

厚労省は、化血研が国に承認されたのと違う方法で血液製剤を製造し続けていたことを受け、今年1月に化血研を110日間の業務停止処分として、他の企業への事業譲渡を求め、化血研は製薬大手のアステラス製薬と譲渡交渉を続けてきました。しかし、関係者によると化血研は、「関係者の理解が得られない」ことを理由に、5日、厚労省に「事業譲渡ではなく、現状の化血研のまま存続を目指したいとの考えを伝えたということです。

これに対して厚労省は、「化血研は現状の組織では存続させることは難しい」として、重ねて事情譲渡を求めたということです。化血研の今後の事業形態が不安定なままでは血液製剤などの製造に影響が出る恐れもあるため、厚労省は期限を設定し、化血研に事業譲渡の決断を迫ることもありうるとしています。

塩崎厚生労働大臣は9日の閣議後の記者会見で、「化血研が何をされてこのような事態になっているのか、もう一度胸に手を当てて考えたほうがいいのではないか」と述べた上で「40年にわたって薬事制度の根幹を揺るがす極めて悪質な行為を続けてきた」と化血研を厳しく批判。医薬品の製造販売の継続は認めず、あくまで事業を譲渡するよう指導していく考えを改めて示しました。

新理事長に近畿大の早川氏               2016年6月19日

Takao Hayakawa-1_R.jpg化血研は2016年6月19日開いた評議員会と理事会で、新しい理事長に近畿大薬学総合研究所の早川尭夫所長(写真)を選任しました。

19日はまず評議員会で、早川氏と、化血研の不正を調査した第三者委員会の副委員長で明治製菓出身の木下統晴氏(67)、アステラス製薬出身で化血研で以前顧問を務めたことがある藤井隆氏(67)の3人を新しい理事に選びました。その後の理事会で、宮本誠二理事長に代わる新しい理事長に早川氏を選任しました。早川氏は大阪大学大学院薬学研究科出身で、厚生労働省が設けた委員会のメンバーも務めてきました。

これまでの理事9人は19日付で全員が退任しましたが、理事の数が大幅に減ることから、このうち3人は業務引き継ぎのため。当面顧問として化血研に残ります。

化血研は塩崎厚生労働大臣から、5月6日まで110日間の業務停止期間中に抜本的な体制の見直しをするよう求められていました。国内製薬大手のアステラス製薬と事業譲渡交渉を続けてきましたが、熊本地震で被災したこともあり、合意に至りませんでした。新体制は生産体制の復旧と並行し、事業譲渡交渉も引き継ぐことになります。

早川新理事長は「化血研は国民の健康維持に必要不可欠な製品を開発・供給しており、その事業の円滑な遂行を図ることが責務と考える。震災からの復旧・復興を含めて、従業員が心を一つにして事業に立ち向かうことが必要」とのコメントを出しました。

早川 尭夫氏(はやかわ・たかお) 大阪大大学院薬学研究科博士課程修了。国立衛生試験所生物化学部研究員、国立医薬品食品衛生研究所副所長などを経て2008年から近畿大薬学総合研究所長。徳島県出身。74歳。

アステラス製薬に事業譲渡で交渉              2016年4月8日  

160408jpg]_R.jpg国の承認を得ない方法で血液製剤を製造するなどして業務停止命令を受け、厚生労働省から抜本的な体制の見直しを求められている化血研が、国内2位の大手製薬会社、アステラス製薬に事業譲渡する方向で交渉していることがわかりました。厚労省は化血研に今年1月、5月6日まで110日間の業務停止命令を出していて、化血研はそれまでに事業譲渡の合意を目指しています。

関係者によると、アステラスは化血研とワクチンなどで販売協力関係にあることから事業譲渡先として選ばれたということです。アステラスが熊本に子会社を設立し、そこに化血研の事業を譲渡する方向で、現在の化血研の生産設備やおよそ1900人の雇用は維持される見通しです。アステラスは大手製薬3社の中で唯一、ワクチン部門を持っていません。国内でもシェアが高い化血研の人体用ワクチン製造に乗り出す狙いがあるとみられます。

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化血研とアステラスは8日、「事業承継に向けた協議を行っていることは事実だが、まだ決定はしておらず、内容については発表できない」というコメントを出しました。

ただ、化血研は血液製剤部門と人体用ワクチン部門、動物用ワクチン部門のすべてを一括譲渡したい意向ですが、アステラスは動物用ワクチンの引き受けに難色を示しているとみられます。化血研は事業を譲渡した後も一般財団法人として存続を希望していますが、塩崎厚生労働大臣は事実上の組織の解体を求めていて、今後の焦点となりそうです。

塩崎厚労相は8日の閣議後会見で「抜本的な見直しは、化血研の事業継続を前提とせずということですから、(化血研は)事業譲渡を含めていろいろ考えているだろう。いろいろな可能性の中で何がベストなのかよく考えてもらいたい」と述べ、化血研としての事業継続は認めない」という従来の考えを繰り返しました。熊本県の蒲島知事は「雇用や人材が確保されるとともに、熊本に本社機能が残されるよう厚労省と連携し、適切に対応を進めてまいりたい」とコメントしています。

薬害HIV訴訟原告が化血研を訪問        2016年3月17日 

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薬害エイズ訴訟の原告代表が、被告企業のひとつである熊本市の化血研を訪れました。和解から20年。化血研の宮本誠二理事長は血液製剤の不正製造問題を受けて謝罪しました。

「このまま20周年を迎えることはできないと、被害者の怒りと悲しみをお伝えに参上した」

化血研を訪れた花井十伍・大阪訴訟原告団代表はこう語り、宮本理事長らと非公開で面談しました。

薬害エイズ事件は、血液製剤によって約1500人がエイズウイルスに感染したもので、化血研を含む加害企業が安全な医薬品の供給を約束し、1996年(平成8年)3月に和解が成立しました。しかし、化血研はこの和解の一方で、国の承認を得ていない方法で血液製剤などの製造を続けていました。原告らは2015年12月、宮本理事長に抗議文を提出して謝罪と経緯を説明するよう求めましたが、化血研は組織体制の見直しを進めていることを理由にその後の面会を拒否し、原告側に不満が広がっていました。

原告らによると、この日は冒頭、宮本理事長が薬害エイズで亡くなった被害者に黙とうを捧げ、「真っ先に被害者に会いに行くべきだった。被害者の思いに気づかず申し訳ない」と謝罪したということです。

現在も化血研の血液製剤の投与を続けている患者は多く、原告らは抜本的な組織の見直しを求めていますが、納得できる説明はなかったといいます。花井さんは記者会見で「内部の人間だけでは(見直しは)難しいという印象。外部の人間の力を借りねば。悪意がないだけに無責任、それを簡単に払しょくできるかというとかなり疑問です。安定供給してもらう国内メーカーとして、かなり不安」と話しました。

原告団は3月26日に東京で和解20周年の記念式典を行う予定で、宮本理事長はその前に文書で説明することを示唆したということです。

肝炎ワクチン 出荷を再開      2016年1月31日  

化血研が不正に血液製剤などを製造していた問題で、厚生労働省がB型肝炎ワクチンとA型肝炎ワクチンの出荷自粛要請を解除したのを受け、化血研は1月31日から2つのワクチンの出荷を再開しました。2つのワクチンは化血研のシェアが高く、供給不足を懸念する声が上がっていました。

業務停止 設備を封鎖     2016年1月18日

160118kaketsuharigami_R.jpg化血研が不正に血液製剤などを製造していた問題で、厚生労働省による110日間の業務停止処分が始まりました。厚労省の担当者が熊本市北区の化血研に入り、営業部門のオフィスが職員が出入りできないように封鎖されました。製造が出来ないように設備や機器も封鎖されました。

動物用医薬品も業務停止     2016年1月16日  

農林水産省は、化血研が承認を得ていない方法で動物用の医薬品を製造していたとして、2月24日まで30日間の業務停止を命じました。午前9時前、農水省の職員を乗せた車が化血研に入り、製造ラインを封鎖し、出荷前の製品を動かさないよう網をかぶせるなどの対応をしました。

厚労省 製造・供給体制を議論              2016年1月15日  

160115kaketsukouroukaigou_R.jpg熊本市にある化血研が国の承認を得ていない方法でワクチンと血液製剤を作っていた問題で、厚生労働省は、こうした薬の製造体制などについて話し合う初めての会議を行いました。

化血研が製造するワクチンや血液製剤など全35製品のうち27製品に代替品がないことなどから、競争やチェック機能が働いていなかったとして、会議ではこうした薬を製造する体制や承認の制度などを抜本的に見直す議論をすることにしています。

今後、どう安定的に供給していくかなどについて、4月をめどに報告書をとりまとめたい考えです。

過去最長の業務停止命令     2016年1月8日  

160108kaketsumeirei_R.jpg化血研が国の承認を得ていない方法で血液製剤を製造していた問題で、厚生労働省は医薬品医療機器法にもとづいて、化血研に過去最長となる110日間の業務停止を命じました。1月18日から5月6日まで、化血研はこの間、医薬品の製造や販売ができません。ただ、国内シェアの多くを占め、供給不足が懸念されるインフルエンザワクチンなど27製品は除外され、実際に製造・販売できないのは8製品だけとなります。厚労省で命令を受けた化血研の宮本誠二理事長(写真左)は、「国民の健康、それから患者さんにとっては、必要不可欠な製品で、改めましてこの場をお借りしましてお詫び申し上げます」と頭を下げました。

化血研に対する処分について、熊本県の蒲島知事は「この業務停止命令を真摯に受け止めて、信頼の回復、医療現場への影響の回避、そして雇用の維持に全力を挙げて取り組んでいただきたい」と述べました。

塩崎厚労相 組織の"解体"迫る     2016年1月8日  

160108kaketsusiozaki_R.jpg塩崎恭久厚生労働大臣は閣議後の記者会見で、化血研を過去最長の110日間の業務停止処分とすることについて、「本来であれば、直ちに医薬品製造販売業の許可を取り消し処分とすべき事案。化血研という組織のままで製造販売をすることは(もう)ないということだ」と述べ、実質的に化血研に組織の解体を迫りました。

塩崎厚労相は「評議委員会に関係者やOBがたくさんいて、なんのチェックもきかない組織」と、現在の化血研の体制を厳しく批判しました。そのうえで「110日というのはとりあえずのものだ」と述べ、経営体制の見直しが不十分と判断した場合は、医薬品の製造販売を許可しない方針を示しました。

化血研の宮本誠二理事長は「大臣からも抜本的な見直しというご指示をいただいておりますので、そういう形で、今後、十分検討していくところでございます」と述べました。

元理事長「許容範囲と思った」     2015年12月18日   

化血研の第三者委員会の報告書で 血液製剤の不正製造への関与を指摘された船津昭信元理事長がKKTの取材に応じ、不正を始めた理由について「よりよい血液製剤を作るため、当時の薬事法では許容範囲だと思った」 と釈明しました。

化血研は1991年(平成3年)、 血液製剤を作る過程で血液が固まるのを防ぐヘパリンを、国の承認を得ずに加える不正を始めました。取材に応じた船津元理事長は、不正の背景に1980年代に起きた薬害エイズ問題をあげた上で、「行政がナーバス(神経質)なときに、承認されていないものを使います、と言ったら、当時、化血研の売り上げの7割を占めた血液製剤の製造がストップし、化血研が倒れることが頭をよぎった」と当時の状況を説明しました。書類の偽装などの隠ぺい工作が長年続いたことについては、「最近知った。なぜ自分に報告してくれなかったのか残念。 大変申し訳ない」と話しました。

厚労省 立ち入り検査開始     2015年12月3日 

151203kaketsutatiiri_R.jpg40年にもおよぶ組織ぐるみの隠ぺい体質を指摘された熊本市の化血研に、厚生労働省が立ち入り検査に入りました。

午後1時ごろ、熊本県や厚労省の担当者など9人が立ち入り検査のため化血研本社を訪れました。化血研の担当者は「今回の一連の不祥事に対し、大変申し訳なく思っている。調査などには真摯に対応する」と話しています。立ち入り検査は夜10時半頃まで続き、経営や製造方法についての資料の確認や職員への聞き取りが行なわれたということです。立ち入り検査は4日も行われました。

理事長ら経営陣総退陣へ     2015年12月2日  

kaketsuA_R.jpg化血研の宮本誠二理事長は2日夜、厚労省で記者会見し、一連の不祥事の責任を取ってきょう付けで宮本理事長が辞任し、 他の8人の理事全員も辞任または辞職すると発表しました。

後任の経営陣は外部からも招く方向です。第三者委員会の報告書は、「歴代の理事長ら幹部は隠ぺいを認識しながら放置していた」として、歴代経営陣の責任に言及していました。化血研は今月中にOBや大学関係者、医療関係者で作る評議員会を開き、理事長、副理事長、常務理事を外部から招く後任の人事を決める方針でしたが、厚生労働省との調整がつかず、新経営陣の決定は年明けに持ち越されました。

151202kaketsu-kougibun_R.jpg化血研は19年前、薬害エイズ訴訟の和解の際に原告らに対し再発防止を固く誓っていましたが、企業の体質は変わっていませんでした。組織ぐるみの不正が判明したことを受け、元薬害エイズ訴訟の原告らはこの日、化血研に対し、適切な対処と経緯を明示することを求める抗議文を宮本誠二理事長に手渡しました。

おことわり 化血研の宮本理事長は辞任を発表しましたが、後任が決まるまで暫定的に理事長職を務めるため、肩書きは理事長と表記します。

ワクチン供給に不安も      2015年10月15日放送  

151015kaketsuwakutin_R.jpg化血研が血液製剤を国の承認と異なる方法で製造していた問題で、インフルエンザワクチン以外のほとんどのワクチンの出荷がストップしていることが分かりました。なかには乳幼児が定期接種する4種混合ワクチン(写真)なども含まれていて、出荷停止が長期化すれば、供給不足になるおそれもあります。

ジフテリアや百日ぜきなどの予防のため、乳幼児などに接種がすすめられている4種混合ワクチンの化血研のシェアは64%に上っています。化血研では、その他のワクチンについても国の調査が終わるまで、出荷を自粛しています。

熊本県小児科医会の杉野茂人会長は、「現時点では医療機関に在庫があり、直ちに供給不足になることはない」と述べたうえで、「4種混合は非常に重要なワクチンで、ほとんど100%の子どもさんたちが受ける。このまま出荷停止が続くと、いずれワクチンが足りなくなると思います」と心配しています。4種混合ワクチンと同じように子どもの定期接種がすすめられている日本脳炎ワクチンや、主に海外渡航者が接種し、国内では化血研でしか製造していないA型肝炎ワクチンの出荷も止まっています。

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