日替わりコラム

 絵日記トップページへ

ハッとする言葉を、子どもたちは時々口にする。
今、高校1年生の<MCMS_KKT_IBUKI>が、小学5年生だった頃のことだ。
その当時、実家の母は体調がかなり悪く、精神的にも鬱状態が続いていた。
「このままボケてしもたら、どがんしょうか…、車いすにでもなってしもたら、どがんしょうか…、あんたたちに迷惑ば、かくるなら、どがんしょうか…て、考えると、心配で心配で心配で、眠られん…」
母は、自分がボケてしまうのではないか、という恐れや、このまま歩けなくなってしまうのではないか、という不安、そして、私たち家族に迷惑をかけてしまうのではないか、という心配で、眠れない夜を過ごしていた。
そして<MCMS_KKT_NOBUKO>も、そんな母にどう接したらいいのか、どう励ましたらいいのか、とまどってしまう状態だった。
そんな時、息吹がポツリと私に言った言葉を、私はずっと忘れないと思う。
息吹は、こう言った。
「ねぇ、お母さん、おばあちゃんは何を心配してるの? 安心してボケたらいいのにね」
思わず「えっ?」と、聞き返すと、息吹は続けてこう言った。
「だって、みんながいるでしょう? もし、車いすになっても、みんなで、交替で、押すのにね」
息吹の言葉に、私は心を打たれた。
母に息吹の言葉を伝えると、母は、うれしい、と涙をこぼした。

その後、母は驚くほど回復し、すっかり元気になって、今では、ボケるどころか、はつらつと趣味のダンスを楽しんでいる。
息吹も、小学生の頃に言った言葉など、今はもう覚えてもいないだろう。

でも、私は時々、あの日の息吹の言葉を思い出す。
元気とはいえ、母も76歳だ。日々の生活の中で、母の老いをふと感じて、寂しくなることも正直ある。
でも私は、母がこの先、家族の中で、安心して歳を重ねていけるように、そして、母の変化を、ありのまま、愛情をもって受け入れることのできる私でいられますように、と、
心から願っている。

あの日のいっくんの言葉のように。

>>信子かあさんのきょうの絵日記へ戻る