日替わりコラム

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母と叔母を乗せて田舎道を運転していました。
後部座席に座っている81歳の母と76歳の叔母の会話は、大根や白菜の値段から始まって、日焼け止めクリームのこと、近所の猫のこと、北朝鮮のミサイルのこと、それから芸能人の結婚の話、…と多岐にわたり、聞いていて飽きることがありません。

母が言いました。「このごろ地球はおかしかねぇ」。
え? 
地球が変、って、お母さん、今度は地球環境について語るのですか??

母は続けて言いました。「このごろは、星さんのいっちょん見えんもん」。
「ほんなこつ、いっちょん見えんねぇ」と、叔母もすぐに同意します。
母と叔母は最近夜空に星がちっとも見えない、と話しているのです。
二人の会話は続きます。
「昔はなぁ、星さんのいっぱい見えよったつに、今はいっちょん見えん」
「そうなぁ、夕べも星さんは、いっちょ・ふたつしか見えんだったよ」
「おかしかなぁ、なして 星さんの見えんごつなったとだろか?」
「地球がおかしなっとっとよ」
「そがんねぇ。今は天文台に行かんと星さんは見えんもんなぁ」
「ほんなこつ!ひしゃくも天の川もなぁんも見えん」
「こがんあるなら、星さんば知らん子どもも出てくるかもしれん」
「おおごつ!そっじゃいかんよ。ほんなこつ、どぎゃんかせないかん!」

太陽を「おてんとさん」、星を「星さん」、と、「さん」づけで呼ぶ母と叔母の言葉からは、自然に対する畏敬の念が伝わってきます。
東国原 前宮崎県知事は、「宮崎をどげんかせんといかん!」と言いましたが、
母と叔母も憂いて言うのです。「地球ば どぎゃんかせないかん!」と。


亡くなった詩人柴田トヨさんの詩集「くじけないで」の中に、九十代の時に書かれた「先生に」という詩があります。
その中でトヨさんは、「今日は何曜日?9+9はいくつ?」なんてバカな質問をしないでほしい。「西条八十の詩は好きですか?小泉内閣をどう思いますか?」というような質問ならうれしいわ、と書いています。
本当に。
肉体は衰え弱くなっていても、後期高齢者と呼ばれる母と叔母の心の中も、トヨさんと同じように、みずみずしく、感性豊かなのです。
それを認識して接しなければね。


見上げれば今日も星の少ない夜空です。
どぎゃんかせないかんなぁ。

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