日替わりコラム

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「信子ちゃん、ちょっと」と呼ばれて、母の部屋へ行くと、
「片付けよったらね、いろいろ出てきたとよ」と言いながら、母は古い指輪を取り出して、テーブルの上に並べ始めた。
レトロなデザインの指輪が4つ、テーブルの上に綺麗に並んだ。
「あら、お母さん、これ、着物着るときに はめよったでしょ?」<MCMS_KKT_NOBUKO2>はその中から、オパールの指輪を手に取った。
「そうそう。よう覚えとるねぇ、信子ちゃんが小学生か中学生の頃だったかねぇ?」
「うん」

当時、母は着物を着る機会が多く、着物を着る際によくこのオパールの指輪をはめていたのだ。
「信子ちゃん、はめてごらん」
母に促されて、わたしはオパールの指輪を薬指に通した。

金で縁どられた楕円形の乳白色のオパール。
とてもシンプルなデザインだけれど、その半透明の石は、角度によって緑や薄紫色の光を放ち、まるでオーロラを切り取って閉じ込めたようだ。
「綺麗ねぇ…」
うっとりと眺めていると、母が目を細めて言った。「よう似合うよ。それ信子ちゃんにあげる」
「え?」
「わたしはもう はめんけん、信子ちゃんがはめなっせ」

母は指輪に目をやりながら話し始めた。
「それはね、お父さんに買うてもろたつよ、そしてこれはね、…」
ゴージャスなデザインのトパーズの指輪、愛らしい真珠の指輪、小さなダイヤとルビーの指輪…。それぞれの指輪にそれぞれの物語があった。
「全部信子ちゃんにあげるけん、はめなっせ」
「え?いいと?」
「よかよ」

少々流行遅れのデザイン。
…でも、そのひとつひとつに、80歳の母の思い出が詰まっている。

「ありがとう!じゃ、使わせてもらうね」
わたしは指輪を順番に指に通しながら言った。
「これは、来週 教会にはめていくね!そして、これは、今度の講演会の時にはめる!そしてこれは、<MCMS_KKT_ISSHIN>くんの卒業式で はめるよ!そして、これは…」
母が嬉しそうに笑っているので、わたしはなんだか泣きたくなった。


ありがとう!お母さん!  大切にするからね!(^−^)<MCMS_KKT_HEART>

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