日替わりコラム

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始まりは<MCMS_KKT_TAIGA>の一言だった。
「あれ? <MCMS_KKT_NOBUKO3>、傷が入っているよ」

見ると、私のお気に入りの しゃぽうクンの体に大きな傷が!
(解説すると、お気に入りの可愛いごみ箱、名前はしゃぽう、というのだが(^_^;)、そのごみ箱に、えぐったような傷ができていたのだ)

「ちょっと、なにこれ? 誰がしたの?」
「たいちゃんじゃないよ!」

「だって、これ、ひどいよ。誰がこんなことしたの?」
「知らない」

さて、ここからが問題。
子どもたちに尋ねてみると、

「ひゅうちゃんじゃないよ!」
「いっしんじゃないよ!」
「ふうちゃんじゃないよ!」

出てくる言葉は「ぼくじゃない」ばかり。

私はだんだん怒りモードへ突入していく。
「誰も何もしないのに自然に傷がつく、なんてことないでしょ?」
「でも、してないよ」
「ぼくも!」
「じゃ、誰がしたの?」
「わかんない」
「しらない」

まったく!
「お母さんはね、傷つけたことが嫌なんじゃないの。傷つけたのに黙ってるのがいやなのよ」
「でも、してないよ」
「ぼくもしてない!」
「じゃ、どうして、こんなになっちゃうの? 透明人間がしたとでも言うの?」

そこに登場したのは三男の<MCMS_KKT_IBUKI>。
「どうしたの?お母さん?」

かなり腹の立っていた私は、怒った声で息吹に尋ねた。
「もしかして、いっくんがしたの?」
「え?」
「これよ、この傷!」
「え? してないよ」
「じゃ、誰がしたの?」
「わかんない」
「もうっ!誰もしないのに傷つくって、そんなのおかしいでしょ!」

腹が立つ。
お気に入りのごみ箱しゃぽうクンについた深い傷は、偶然できたとは絶対考えられない。
誰かがわざとつけた、としか、どうしても思えないのだ。
いったい誰?
誰がしたの?
というか、誰が嘘ついてるの?
なんで正直に言えないの?

本当に腹が立つ。
犯人探し、みたいなことはしたくないけれど、このままわからないのも嫌だ。
どうしよう…。

その時、息吹が言った。
「よし、捜査開始だ!」
「え?」

「現場には、容疑者が残したものが何かあるかもしれない」
そう言いながら、息吹は、おもむろに、しゃぽうクンに近づいた。


「しゃぽうクンの横にハサミがあったんだけど、」と言うと、
「見せて」と息吹。

ハサミをしゃぽうクンの傷に合わせると、かなり形が似ている。
「ハサミの大きさと合う、でしょ?」
「う〜ん。…でも、この傷は、ハサミじゃないね」
「そうなの?」
「ほら、これは溶けて出来た傷だよ。とすると、凶器は、ハサミじゃないな。まず、凶器の特定からしよう」

子どもたちの目が一斉に輝き始めた。
「やろう、やろう!」

息吹は部屋へ戻ると、CAUTIONと書かれた黄色いテープを持ってきて、部屋のドアにバツ印の形に大きく張り付けた。
ドラマに出てくる立入禁止のあのテープだ。
「よし、現場は立ち入り禁止だ。まず、被害者の傷を見てみよう」と息吹。
「はいっ!」と、威勢のいい子どもたち。

「う〜ん。この傷は、…もしかして、アイロンでは?」
息吹の指示に従って、小さい子どもたちはアイロンを取り出す。
「よし、被害者の傷に合わせてみよう」
「ピッタリだよ!」

ほんとだ。 しゃぽうくんの傷とアイロンの端が、ピッタリ一致する。

「ん?被害者の傷跡に黒いものが付着しているな。これは、容疑者が残していったものだ。よし、分析してみよう」
息吹は部屋へ戻ると、今度は顕微鏡を持ってきた。
下の子たちは、もう、興味津々。

やだな。私までワクワクしてきた。

被害者 しゃぽうクンの傷に残っていた黒いもの、とハサミの黒い部分を、交互に顕微鏡で観察すると、そこに見えるものは、明らかに違う。
次にアイロンに付いたものをこすり取って、顕微鏡で見てみると、まぁ!ごみ箱に残っていたものと、まったく同じだ!

「間違いない。凶器はアイロンだ! 次は、誰がアイロンを使ったか、だな」
「いっしんはしてないよ!」
「ふうちゃんもしてない!」
「ひゅうちゃんも使ってないよ!」

なるほど、小さい子は、アイロンを使わない。

「よし、聞き込み開始だ。アイロンを使ったかどうか、聞き込みするんだ」
息吹の指示で、小さい子たちは勇んで姉たちに聞き込みを開始した。

今度は<MCMS_KKT_REIKA2>も<MCMS_KKT_MANAMI2>も<MCMS_KKT_SHUE2>も加わり、捜査は続く。

みんなすっかりドラマの刑事気分だ。

「凶器はアイロンに特定できた。しかし、アリバイはみんな曖昧だ。となると、あとは動機の解明だね」
「動機?」
「しゃぽうクンを傷つけて誰が得するか、だ」
「しゃぽうクンを傷つけたって、何にもいいことないよ」
「う〜ん、愉快犯、ってこともある」

すると、そこで突然、長女が言った。「犯人は、お母さんかもしれない!」

私は慌てて言い返す。
「な、なにそれ!それはないわよ!だって、しゃぽうクンは、私のお気に入りのごみ箱よ。それを私が傷つけるわけないじゃない!私に動機はありません!」
長女が言う。
「いや、しゃぽうクンに飽きた信子が、新しいごみ箱を買うために、わざと傷つけた、ということも考えられる!」
「私はしていません!」

ここまでくると、もう、みんなノリノリ。

取り調べには かつ丼が必要だ、とか、張り込みにはアンパンと牛乳だ、とか…


そんなこんなで、楽しく捜査を続けていくうちに
事件の全容が、次第に明らかになってきた。

どうやら、使った後の、まだ熱いアイロンが床に立てておいたままになっていて、
それにごみ箱が倒れかかったらしいのだ。傷もちゃんと一致する。
倒れかかった理由は、ごみ箱のそばに洗濯物の山があって、その一部が崩れたからだろう。

なるほど。

それで納得。

犯人は、……いなかった。


怒った自分が恥ずかしい。


子どもたちのユーモアは、こんなふうに、我が家の危機をたびたび回避させてくれる。



ありがとね、いっくん。

いつもありがとう。(^−^)<MCMS_KKT_HEART>

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