日替わりコラム

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 中学生の頃、私には大切なノートがあった。
 表紙にかわいい女の子の絵がついた小花模様の小さなノート。本を読んだり、人から聞いたり、映画やテレビを見た中で、心に残った言葉や、気に入った言葉を書きとめておく、“言葉の宝石箱”とでもいうようなものだった。

 ノートは、もう失くしてしまったけれど、その中に記した言葉の数々は、今でもけっこう憶えている。
 例えば、『雲の後ろには、太陽が輝いている』とか、『朝の来ない夜はない』とか。
 期末試験の前、勉強がしたくなくてうんざりしている時に役立ったのは、『いやな仕事だと思っても、まず、取り掛かってごらんなさい。仕事に手を付けた、それだけで、仕事の半分はもう終わってしまったのです』という言葉だったっけ・・。

 もし、今、その時のノートが手元にあったなら、大人になった私は、そこにどんな言葉を書き加えるだろう?

 いくつか考えてみたのだけれど、この言葉は外せない。

『気づいた時が変わる時』
『今から、ここから、始めよう』
『変わるのに、年を取りすぎているということはない』

 いかにも中年らしい言葉の選択でしょう?(笑)
 でも、本当に、心から実感しているのだ。気づいた時が、変わる時。変わるのに年を取りすぎているということはない、って。
 52歳の誕生日を迎えたばかりの私にも、夢があり、目標がある。自分を変えたいという望みもある。だから、もちろん頑張ろうと思っている。ただ、取り組むときの気持ちや姿勢は、若い頃のそれとは随分違ってきたように思う。

 昔の私はよく落ち込んだ。
 結果をすぐに求めていたからだろうなぁ、と、今の私は考える。
 だてに年を重ねてきたわけじゃないから、タイムスリップで、子育て真っ最中30代前半の私の前に行けたなら、ちょっとはアドバイスできるかも・・・例えばこんなふうに、ね。

「ああ、もう!どうして私ってダメなんだろう!どうして意思が弱いんだろう!」
「そんなことはないよ、のぶちゃん」
「えっ、あなたは誰ですか?」
「私は52歳の信子。あなたの未来の姿です」
「ええっ!私、そんなに太るんですか?!」
「いやぁ、ダイエット成功するにはしたんだけど、ちょっと油断してリバウンドしちゃってね。でも、また頑張ってるから、そんなに心配しないで」
「そうなんですか。で、52歳の信子さんが、いったい何故ここに?」
「あなたがしょっちゅう落ち込んでるので、遠い未来から励ましに来たのです!」
「そ、それは、どうも…」
「で、のぶちゃん、あなた、なんで落ち込んでるの?」
「頑張ろう!って、いつも思うんです。そして、実際頑張ってはみるんですけど、長く続かない・・っていうか、すぐ挫折するっていうか・・。ほんと、私、意思が弱くて」
「そうかなぁ? のぶちゃん、けっこうよくやってるって思うけど」
「いいえ、違うんです。子どもたちにやさしくしようって、毎晩思うのに、朝になると、なにやってんのよー!なんて、怒鳴り散らしてしまうし、反省して、もっと愛情深く、忍耐強く、もっと笑顔でって、決心するのに、・・決心するのに、うっ、うっ、ううっ」
「ほらほら、のぶちゃん、泣かないの!可愛い顔が台無しよ。まぁ、いろいろ話もあるけれど、今日は、52歳の私から、一つだけ、アドバイスして、未来へ帰るわね」

「はい」
「のぶちゃん、いい? 焦っちゃダメ」
「え?」
「結果を早く求めてはダメよ。人間そうそう簡単に変わるもんじゃないって! 決心しただけで簡単に変われるなら、みーんな今すぐ、天使にだってなれるわよ」
「・・・・」
「のぶちゃん、ほら、あなたピアノ習ってたでしょ?」
「はい、少し・・」
「ピアノを上手になろう!絶対に上手になろう!って、決心しただけで上手になれた?
 なれないでしょ?どんなに固く強く決心しても、練習しないと、できないでしょ?」
「はい」
「その練習もね、いきなり、“子犬のワルツ”やら“月光”なんて、弾かなかったでしょ?初めは“バイエル”。その時の自分のレベルに合ったテキストで、何度も何度も練習して、少しずつ、少しずつ、だんだん弾けるようになっていったんじゃない?」
「はい」
「人が変わるのも、きっと一緒だよ! 練習や、繰り返し、沢山の時間をかけることなしで、たやすく変わることなんか、やっぱり出来ないと思う」
「そうですね、でも、私、その頑張りが続かなくて・・ほんと、ダメなんです」
「ねぇ、のぶちゃん、もし、あなたの大切な友達が、『私ってダメなの』って、しょげてたら、あなたは、その友達に、『ほんっと、あんたって超最低!救いようのないダメダメ人間だよ!』なんて言う? 言わないでしょ? きっと、『そんなことないよ!あなたは頑張ってるよ!』って、励ますでしょ? 友達だったら見捨てずに、いい所を見つけて一生懸命励ますのに、自分がくじけたら、すぐに、ダメなやつ!と見放して責めまくるなんて、それじゃあ、自分がかわいそうだよ」
「・・・・」
「もっと、自分をいたわってあげてよ。出来てない部分をあげ連ねて責めたりしないで、変わろうとしてる気持ちや頑張りを認めてあげてよ。一番大切な友達に接するみたいに」
「…友達みたいに、ですか?」
「そう。鏡の前に立って、自分に向かって言うんだよ。『あなたはよくやってるよ。そりゃあ、出来てないこともあるけれど、でも、あなたは頑張ろうとしてるじゃない。変わろうと、もがいてるじゃない。私はちゃんと知ってるよ。あきらめないで続けてごらん! 私がずっとついてるよ!』ってね」
「・・・・」 
「子育ては忍耐だ、と言うけれど、その忍耐って、子どもに対する忍耐よりも、なかなか成長しない自分への忍耐、っていうか、なかなか変われない自分自身への忍耐の方がもっとずっと大きいかもしれないと、私は思うの。のぶちゃん、自分を見捨てないでね。自分を嫌いにならないで。自分を受け入れて、自分を励まして、自分の可能性を信じて、自分を愛して頑張ってよ。のぶちゃんが、のぶちゃんの一番の友達になってあげなきゃ!いい? 鏡の前で、自分に向かって、『頑張れ、私! 負けるな、私!』って、言ってあげるんだよ!」
「…はい、私、やってみます!」
「その言葉を聞いて安心したわ。やってみてね。あ、でも、もし3日で挫折したって、自分を責めないのよ。おう!今回は3日続いたぞ!って思えばいいんだから。また、仕切りなおして、やり直せばすむことなんだからね!1回の決心で変われれば、そんないいことはないけど、でも、1回で変われなければ5回頑張ればいいし、5回で変われなければ10回。10回で変われなければ20回……って、何回も何十回も、数でこなすのもアリ!だと思うよ!」
「わかりました!」
「じゃ、私はそろそろ失礼しないと」

「あ、52歳の信子さん」
「え? なにか?」
「ダイエット、頑張ってくださいね! きれいになって、私の未来を輝かせてください」
「わかったわ! やせる、って思うだけじゃなく、実行するわね! よし、今日はもう、お饅頭も、アイスクリームも、チーズケーキも、絶対に口にしないわよぉぉ!」
「すごい!すごすぎる! 立派です!信子さん!」
「それじゃ、のぶちゃん!」
「それじゃ、信子さん!」
「さようならーー(感涙)!」
「さようならーーー(号泣)!」
***完***

(・・なぁんて、はっちゃけた絵日記になっちゃいました{{(>∇<)}} 最後くらい、ちゃんと締めないとね!)

“言葉の宝石箱”のノートが今あれば、月並みだけど この言葉も、やっぱり必ず入れておく。

『NEVER GIVE UP !! 』
『NEVER NEVER GIVE UP !! 』

52歳の私は、くじけない。
あきらめないで頑張り続けたら、いつか私は、きっと変われる。

    『過去と人とは変えられないが、未来と自分は変えられる』

ねっ!

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