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「ねぇ、麗花ちゃん、あの頃、反抗期の頃、なんでいつも怒ってたの?覚えてる?」
「ああ、中学生の頃?さあ?何でだろ?とにかくイライラしてたんだよね」
「何にイライラしてたの?」
「うーん、何に、っていうより全部。すべてのことにイラつくっていうか、腹が立ってた」
「学校でも?」
「いや、学校では普通。家に帰った途端にイライラしてくるの」
「そうよね、言葉は荒っぽいし、ドアは力まかせにバタン!と閉めるし、廊下はドスドス音を立てて歩くし、何か言えばすぐにらんでたよね!」
「アハハ。いいとこなんて全然ないね」
「そういう自分のことどう思ってた?いいと思ってたの?」
「何とも思わない。自分をイラつかせる周りが悪いんだって思うくらい」
「家の何が気に入らなかったの?」
「うーん。なんで茶碗洗わないといけないんだ!とか、弟たちがうるさいとか、親に対してとか(笑)」
「そういう時、どうしてほしかった?」
「別に。何してもらっても結局イラついてたと思うよ。しいて言えば、そっとしておいてほしいっていうか、ほっといてほしいっていうか」
「でも、ひどく悪い態度を取ったりしてても何でも黙ってみてるっていうのはどうかな?」
「いや、悪いとこは注意していいと思うよ。説教されれば腹は立つけど、それは仕方ないよ。黙って見てなくていいと思う。ダメなことはダメって言っていいんじゃない?」
「でも、注意されたら怒るんでしょ?」
「うん!」
「ひどいなあ!」
「ほんと、ひどいよねぇ!でも、基本的にはほっといて欲しいんだけど、愛はほしいっていうか(笑)」
「ふうん、甘ったれてるんだね(笑)」
「そう!」
「で、反抗期がどうやって終わったかは覚えてる?」
「いつ始まったとかいつ終わったとかはわからない。自分が反抗期だなんて自覚ないしね。なんか妙にイライラしてきて、何に対してもイラついて、世の中全部にイラついて、とにかくイライラしてて、そのうちイラつくことが少なくなってきて、気づいたらいつのまにかイライラしなくなった、って感じ?」
「ふうん、そんなものなんだ」
「そう!」
「でも、反抗期終わると、人は変わるねえ!」
「そうかな?」
「うん!すっごく変わった!麗花ちゃんほんとにいい娘さんになりました!」
「まあね!」
ひでくんが反抗期のまっ最中にね、ああ早く元の素直で明るいひでくんに戻って欲しいなあ…って何度も思ったの。でも1年くらいたって反抗期が終わったとき、ひでくんは元には戻らなかったの」
「えっ?」
「元より良くなったの!」
「ああ」
「ほんとに一皮剥ける、っていうか、階段を一段登るっていうか、前のひでくんとは違う、新ひでくんって感じ。驚きだった」
「へぇ」
天ちゃんも、麗花ちゃんも、まあちゃんもそう!確実に成長したと思うよ。いっくんだってそうでしょ?」
「ああ息吹?うん!変わった!実にいい男になったよ!」
「でしょ?」

…と反抗期談義に花を咲かせていた私たちの横を、ドスドスと種恵が歩いて行った。
「もうっ!まったく!」と何やらひどく怒りながら。

「次は種恵ちゃんか」
「種恵ちゃんだね。上の子で何回経験しても、反抗期まっ最中の子って、ほんっとにムカつくんだけど、でも、新種恵ちゃんに会えるのを期待しながら頑張るしかないね」
「楽しみだね!」
「うん!楽しみだよ!」

おっと、種恵が向こうから戻って来た。 ドスドスドスと歩きながら。