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 「信ちゃん、ちょっとこれ見てごらん」
 母が1枚の紙を差し出した。
 「よかことのいっぱい書いてあるけん読んでみなっせ」
 母の友人からもらったというその紙には人世の教訓になるような言葉が、美しい毛筆でびっしりと書かれている。
 読み進んでいくとこうあった。
 "人は幸福に暮らしているから朗らかなのではなく、朗らかにしているから幸福な事柄が続々に現われるのです"
 笑う門には福来たる、の教えは、言葉を変えて古今東西にあるようだ。
 でも、笑っているためには、朗らかにしているためには、どうすればいいのだろう?
 "すべてを受け入れること"かな…と私は思っている。
 女子フィギュアスケートの銀メダリスト、ロシアのスルツカヤ選手は、病気の時、怪我の時、試合に負けてしまった時、自分にこう言うそうだ。
 「仕方ない。そう!これが私の人世」
 そうして現状を受け入れ、そこからまた一歩を踏み出すのだとテレビで言っていた。
 すごいなぁ。ステキだなぁ。…だからこの人の笑顔はこんなにも美しく輝いているのかしら…と思った。
 世の中には思いがけないこと、自分の力ではどうにもならないこともたくさんある。
 でも辛い経験が、自分に何かを気づかせるため、自分の足りない所を補うため、自分をもっと強めるため、何かに自分を備えさせるため、また、家族をひとつにするためのものであったことに後から気づくというのはよくあることだ。
 だから私も、何かあれば必ずこう考えるようにしている。
 "このことにはきっと何か意味があるんだ"
 すぐには理解できなくても、"きっと何か意味がある"と思うだけで、受け入れる勇気がわいてくる。
 人世に、意味のない経験なんてきっとひとつも存在しない。
 「そう!これが私の人世」と、すべてを受け入れておだやかに笑うスルツカヤ選手のように私もなれたらいいなと思う。