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"八月も末になろうという頃、ある朝早く、パレアナがジョン・ペンデルトンのところへ見舞いに行った時のことです。
赤とすみれ色でふちどられている燃え立つような青と金色とみどり色の光線が枕のあたりにさし込んでいるのを見て、パレアナは言いようもない感激と喜びに打たれて叫びました。

「まあ、ミスターペンデルトン、虹の赤ちゃんよ!虹がおじさんをお見舞いに来たのよ!まあ、まあ、まあ、なんてきれいなんでしょう!だけどどうやってはいってきたんでしょうね?」"

 これは、が小学生の頃に読んだ「少女パレアナ」の一場面。
 窓にさす光が、窓にかけてあったガラスの寒暖計を通して小さな虹になったのだ。
 美しい光に吸いつけられるように目をすえて、パレアナはうっとりとつぶやく。
 「ああ、虹の中に住みたいわ」
 ペンデルトンさんは燭台についていた12個のプリズムの飾り物をはずすと、「さあ、これを窓辺にあるカーテンの金具に吊るしてごらん。きみが虹の中に住みたいなら、虹を作ってあげなければいけないからね」と手渡す。
 言われるままに、太陽に照らされた窓にプリズムをさげていくうち、あまりうのうれしさにパレアナの手は震えてしまう。
 文章はこう続いている。

"まったくおとぎばなしの国でした。大きいばかりで殺風景な寝室がすっかり変わりました。どこにも、赤、青、すみれ色、オレンジ、金色と水色。壁も床も、家具から寝台までもが、美しい色で燃え立つようになりました。
「まあ、まあ、まあ、なんてきれいなんでしょう!」"

 これは、「少女パレアナ」の中で、特に印象に残っている場面のひとつだ。
 これを読んだ小学5年生の時、"部屋中に虹があるなんて、どんなに、どんなに美しい光景なんだろう!ああ、私も見てみたい!"と、どれほど強く思ったことだろう!それは小さい頃"お菓子の家に住みたい!"と願ったのよりはるかに強い望みだった。
 それからもう何十年もたったけれど、その夢は今も私の心のどこかに残ったままだ。

 そんな私が聞いた驚くべき言葉!
数週間前、運転中にカーラジオから聞こえてきたのは耳慣れない単語だった。
"ボーメーカー"
 窓にクリスタルを吊るして、外から差し込む光で、小さな虹をいっぱい作るのだとDJの人が紹介している。
 な、な、な、なんですって!!
 小学5年生の時の夢がいっぺんによみがえった瞬間だった。
 帰宅後、"レインボーメーカー"という言葉を頼りに、慣れないパソコンで検索してみる。
 あった!あった!ほんとにあった!
 生まれて初めてのネットショッピング。
 待つこと1週間。
 ついに、ついに、"レインボーメーカー"が我が家に届いた!
 す、すごい。こ、これが"レインボーメーカー"。
 震える思いで箱を開き、スワロフスキーの美しい小さなクリスタルをうっとりとながめる。
 ああ、ステキ。なんてステキなんでしょう。あとはこれを、直射日光の当たる窓に下げるだけ!
 ・・・と、そこで気づいた。
 うちには、直射日光の当たる部屋がひとつもない、という現実。
 ガ、ガ、ガ〜ンと頭の中に効果音が鳴り響く。
・・・かくして、"レインボーメーカー"は再び箱に戻り、今は私の机の上。
 これを使うためには、日当たりのいい家を新築するしか道はない。・・・ということは、これ、私が生きているうちは使えないかも・・・。
 頭の中に再び鳴り響く効果音。
 ガ、ガ、ガ〜〜〜ン!!!