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 「ホームアローン」という映画が以前あった。
 家族旅行の慌ただしさの中、うっかり忘れられ、一人家に取り残されてしまう男の子、ケビン君の愉快な物語。
 何年か前に家族でこのビデオを見た時、うちのだれもが声を揃えた。
 「あっ、これ、いっくんだ!」
 「ほんとだ!ケビンはいっくんだ!」

 我が家の三男・息吹は、小さい頃からよく忘れられる子だった。
 と言うと、聞こえが悪いけれど、存在感がなくて気づかれないというのではなく、むしろ、しっかり者なのでまわりから"いっくんは大丈夫!"と思われてしまうのがその理由なのかもしれない。そしてその結果として、しょっちゅう忘れられてしまう。

 例えば日曜日の朝。
 9時から始まる教会の集会に遅れないよう家の中は大騒ぎだ。
 「さっさと着替えて!」
 「あら、まだ食べてるの?お代わりする時間なんてないのよ!」
 「サンダルはだめよ。靴を履いて!」
 「電気は消して!」
 「聖典は持った?」
 「急いで車に乗ってちょうだい!」
 「えっ?今からうんちするの?」
 「待って!服が裏返しよ!」
 「忘れ物はない?」
 「じゃ、行くよー!」
 ―――と車を出して、しばらく走っているうちに誰かが気づく。
 「あれ?いっくんは?」
 「えっ?」
 「いっくんは?」
 「いっくんは?」
 「いっくんは?」
 あ〜〜〜〜〜〜っ!!と慌ててUターン、って感じ。
息吹の言葉によると、「ぼくが顔を洗ってて、顔を上げたら誰もいなかった」ということらしい。
 でも、家に忘れられ、トイレに忘れられ・・・という数々の逆境にもめげず(?)、息吹は健やかに成長し、今では立派な中学2年生・・・・と思っていたのに・・・!

 昨日のことだ。
 朝の8時半を過ぎ、一心と幼稚園へ行く支度をしているところへ、息吹が血相を変えてやってきた。
 「お母さんっ!今何時?」
 「8時42分よ・・・って、いっくん!なんでここにいるのよ!」
 「寝てた!」
 「えーっ!?」
 もちろん7時前にはちゃんと起こしたのだけれど、息吹はその後、"二度寝"してしまったらしい。
 大家族の朝は忙しい。
 「行ってきまーっす!」
 「行ってらっしゃーい!」
 起きた順に次々に食べては次々に出て行く。
 そんないつものバタバタの中で、てっきり息吹も出て行ったものだと思い込んでいた。
 「うわあぁ〜〜っ!大遅刻だ〜〜っ!」と猛スピードで登校していく息吹の姿に、"我が家のケビンくんはまだまだ健在だぁ"と苦笑してしまった。

 そんな愛すべき息吹は、先週行われた次期生徒会役員の選挙で、なんと副会長に当選!
 ・・・今度は学校に忘れられないようにネ。