絵日記トップページへ
   
   
 

 
 
 「今、どのあたり?」
 運転中ののケータイにから電話が入った。
 「あと10分くらいで家に着くよ」と答えると夫は、「国丁の方に回って帰ってくれる?」と言う。
 「国丁?帰り道とは全然違う方向じゃない。なんで?」
 「国丁あたりで日向一心を降ろして帰ってきたんだよ」
 夫の話によると、子どもたちと出かけた帰りに、車の中で日向と一心がけんかを始めた。何度注意してもやめなかったので、それなら二人で歩いて帰りなさいと、二人を降ろして自分たちだけ家に帰ったとのこと。
 「ひゅうちゃんと一心くんだけで帰ってるの?」
 「いや、愛実大我も降りた」
 ボディーガード兼道案内役として愛実と大我が一緒に歩いているらしい。
 「わかった。じゃ、拾って帰るから」
 夫の話からすると、もう20分くらいは歩いているはずだ。昼の2時。一番暑い時間帯。今すぐ迎えに行っても、あと20分はかかる。急いで行ってやらなくちゃ。
 車を走らせていると・・・見えた、見えた!
前方に4人の集団。疲れた足取りで歩いている。
 クラクションを鳴らして車を止めると、「おかあさんっ!」と日向と一心がかけ寄ってきた。二人はトマトのように真っ赤だった。
 「どうしたの?何でこんなとこ歩いてるの?」
わざとそう尋ねると、二人は泣きながら車から降ろされたいきさつを話し始めた。二人の口ぶりからは、けんかしたから、言うことをきかなかったから、約束を破ったから、車から降ろされたのだと理解はしているように感じられた。
 「そうか。悪いことしたのなら、歩いて帰るのは仕方ないことだね」
 「・・・うん」
 「もう少し頑張って歩いて帰りなさい」
 「・・・うん」
 私は子どもたちを車に乗せることなくその場を去った。と言っても見捨てたわけではない。実は、飲み物を調達しに行ったのだ。それに、あっさりと車に乗せて帰ってはマズイと感じたからでもある。子どもたちは再びトボトボと歩き始めた。
 コンビニでスポーツドリンクを4本購入した私は、急いで子どもたちのもとへ車を走らせた。すると前方に、さっきまでとは打って変わって元気に歩いている子どもたちの姿があった。頭にはタオルをかぶっている。
 車を止めた私に、日向と一心がうれしそうに言った。
 「れいかちゃんといっくんがね、ジュースをもってきてくれたの!」
 「ぬれたタオルもだよ!きもちいーっ!!」
 驚いた。
 私が車で迎えに行く前に、帰省していた麗花息吹が、弟たちに届けようと、冷たいタオルと飲み物を持って自転車で家を出ていたのだ。
 「よし!もう充分歩いたから車に乗っていいよ!一緒に帰ろう!」
 子どもたちを車に乗せて家に向かっていると、汗だくになって自転車をこいでいる麗花と息吹に追いついた。
 「れいかちゃん、いっくん、ありがとねー!」
窓から叫ぶと、二人は笑顔で手を振った。

家に帰り着くと、台所では夫が冷たいソーメンを準備して待っていた。
「お帰り!さあ、一緒に食べよう!」
「はぁい!」
子どもたちは一斉にソーメンにとびついた。

 なんか、いい気分。
 いい一日だったな。
 暑い中、一緒に歩いてくれたまあちゃん、たいちゃん。
 自転車を飛ばしてジュースを届けてくれた麗花ちゃん、いっくん。
 おまいら、本当にいいやつだよ! \(^0^)/