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 四男の大我にトラブル発生!
 4年生になってから入ったバスケット部でちょっとしたイジメにあっているらしい。
 重い口を開いた大我の言葉をまとめてみると、数人の子どもたちから「へたくそ!」とからかわれ、ボールを投げつけられているということだった。何回もそういうことが続いたので先生に言ったら、「そのくらいのことでいちいちいいに来るな!」と一喝されて、気持ちの持って行き場がなくなってしまったようだ。
さて、どうしたものか?
 正直、の心は複雑だった。程度はどうであれ、自分の子がイジメにあっているかも、と思うと心中穏やかではいられない。
 夜の11時。大我を囲んで家族で話す機会を持った。
 「運動部に入っていればそういうことはつきものじゃないかなぁ」剣道部出身のが口を開いた。「そのくらいのことでいちいち言いにくるな、って先生が言うのもわかる。悔しい気持ちや負けん気も、運動していれば大事だしね。たいちゃんが運動部に入ることを選んだ時点で、ある程度の覚悟は必要かもしれないな」
 「無視してればいいよ」というのが同じく剣道部の三男、息吹の意見。
 「イジメはね、」今度は次女の愛実が口を開いた。
 「イジメはね、いじめられた側がいじめられたと感じればイジメになるけど、イジメられたと感じなければイジメにはならないんだよ。ヘラヘラしとけば案外大丈夫ってこともあるよ」
 愛実はさらに言葉を続けた。
 「私なんてね、毎日いじめられてるんだから!この前も、変なもの見せてあげると言われて、いきなり目の前に鏡を置かれたんだよ!」
 大我も私も、みんな思わず笑い出した。
 「あっ!笑ったねぇ!まったく!」と口をとがらせながら愛実は続けた。
 「こういう時に、ひどい泣き出しでもしたら、くらーいイジメになるけど、やめろぉーっ!このやろぉーっ!」って笑いながら襲いかかっていけば、相手も笑いながら逃げていくの。アハハハハハハって笑ってれば、ただの遊びになるんだよ」
 大我は、うん、うん、とうなずいている。
 夫や息吹のいうことはもっともだ。運動部を選んだその時から、大我は厳しい道を歩き始めたんだよね。でも、これまで根性や負けん気、闘争心などとは無縁の、どちらかと言えば穏やかでやさしい大我に、そんな道が歩けるんだろうか?愛実のように少々のことは笑いとばしてしまうような処世術も、9歳の大我にはまだないだろうし・・・。
 ふと私の頭に、"天童ならこんなときなんて言うだろう?"という思いがうかんだ。
 「ねぇ、たいちゃん。てんちゃんにも相談してみる?」
 「えっ?」大我の顔がパッと輝いた。
 「てんちゃんに電話で聞いてみる?」
 「電話していいの?」
 「いいよ。自分でかけてごらん」
 「うんっ!」
 大我にとって天童は、大好きな大好きな頼れるお兄ちゃんだ。大我は受話器を握りしめ、緊張した面持ちで、東京に住む二男に電話をかけ始めた。
ピポパポピ・・・・
 「あ、てんちゃん。夜おそくごめんね。あのね、相談したいことがあって電話したんだ。」
 大我は話し始めた。
 天童は今頃、小さな弟の話にじっと耳を傾けてくれているんだろうな。
話し終えた大我は、「うん、うん」とうなずいている。どうやら天童のアドバイスが始まったようだ。
 「うん、うん、そうだね!」大我の表情が明るくなった。
 「うん、うん!そうか!うん、うん、わかった!」大我が笑っている。
 「うん、うん、やってみる!」大我の表情はさっきまでとは別人のようだ。
 「うん!てんちゃん、ほんとにありがとう!おやすみ!」受話器を置いた大我は晴れ晴れした様子でふり返った。
 「てんちゃんに電話してよかったよ!」
 私たちは身を乗り出すようにして大我の次の言葉を待った。天童がいったいどんなアドバイスをしたのか、早く知りたくてたまらなかったかったからだ。
 「てんちゃんにいい言葉を教えたもらったんだ」
 大我はいきいきと話しだした。
 「へたくそ!と言われたらね、"そう!へたなんだよ!だから練習してるんだよ!"って言っとけって。それでもへたって言われたら、"練習してもへた?いやぁ、そりゃないっしょ!"って笑っとけって!すごいでしょ!僕そんなことぜんぜん思いつかなかった!」
 はあ・・・なるほど。と一同唖然。
 さすがてんちゃんね、妙に納得してしまう。
 大我は続けた。
 「ほんとはね、部活入らなければ良かったって思ったんだけど、やっぱり入ってよかったよ!だって、てんちゃんが、たいちゃんがバスケ部に入ったからうれしいって!帰ったら一緒にバスケやろうぜって!」
 大我の声は弾んでいる。
 「てんちゃんが帰るまでに特訓して、バスケもっと上手になる!上手になればへたくそって言われないぞって、てんちゃん言ってたし!がんばるよ!」
夜12時。ちょっと遅くなったけれど、なんとも言えないあたたかい気持ちで私たちは床についた。

 いいなあ・・・兄弟って・・・!

 大我は今回のことを、自分で切り抜けていけそうだ。でも、すぐにまた新しい問題にぶつかるかもしれない。
 だけど、たいちゃん!たいちゃんにはてんちゃんがついてるもんね!
 そして、あんまり頼りにならないけれど、お母さんも、お父さんも、お姉ちゃんもお兄ちゃんも・・・家族みんながついているからね!