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 "一目惚れ"というものがあるのなら、"一聴き惚れ"というのもあるかしら?
 数ヶ月前、車のラジオから流れてきたその歌声に、はすっかり聞き惚れてしまった。えっ?誰?この人、誰?曲は松任谷由実の「春よ来い」なのだけれど、歌っているのは男の人だ。これ誰?誰が歌っているの?美しく澄んだ透明感のある歌声に、心が洗われていくようだった。誰なんだろう?・・・声の主がわからないまま番組は終わってしまい、その声だけが心に残った。
 それから半年後、車を運転していると、なんとあの歌声がラジオから聞こえてきたではないか!うわっ!あの声だ!急いで車を止めてメモの用意。誰?誰なの?曲紹介はないの?ペンを持って待っていると、あった、あった!曲紹介!えっ?何?聞き取れない。キム?えっ?ヨンジャ?えっ?誰?・・・ちゃんと聞き取れなかったのだけれど、どうやら韓国の人らしい。
  「キム・ヨンジャ?」
  走り書きしたメモを片手に、翌日レコード店に行ってみた。韓国の歌手のコーナーを探してみたけれど、そんな人は見つからない。店員さんに尋ねてみる。
 「あの・・・ちょっと正確な名前じゃないんですけど、キム・ヨンジャという歌手はいますか?」
 「キム・ヨンジャですか?」
 「いえ、あの、よくわからないんですけど、キム・ヨンジャに似た名前の人はいますか?」
 「ちょっと待ってください。調べてみますから」
待つこと数分。「イム・ヒョンジュならありますけど」
 「イム・ヒョンジュですか?それかも!あの、その人のアルバムって出てますか?」
 「2枚出てますよ」
 「そのどちらかに、春よ来いのカバーが入ってませんか?」
 「ちょっと待って下さい。あぁ、ありますよ。サリーガーデンというアルバムに入ってます」
 「ほんとですか!じゃ、そのサリーガーデンを1枚ください」
 「在庫がないんで、取り寄せになりますけど」
 「はい。お願いします!」
  数日後、入荷の知らせを電話で受けて、レコード店へ足を運ぶと、あった!あった!ありました!待望のアルバムが!
 急いで帰宅し、ドキドキしながらCDを再生する・・・・あーっ!これ、これ!そう、この声よ!
 流れてきたのは、あの澄んだ透明な歌声。自分でもおかしくなるくらいに、心がジーンとしてしまった。曲を聴きながらジャケットの写真をながめ、解説を読んでみると、歌っているのは16歳の少年。イェウォン学校声楽科を首席で卒業。ジュリアード音楽院予備科に、その年ただ一人審査員満場一致で合格・・・等々書いてある。へぇっ、すごい子なんだ・・・
あー、でも、そんなことどうでもいい!私はとにかく、この声が好きなの!
 その日以来、私は朝に夕に、このアルバムを聴いている。もう軽く、数十回は聴いたかと思う。
 天使の歌声って本当にあるんだなあ・・・今日もうっとり聞き惚れていた私の横で、一心が歌い出した。
 "びわはぁ やさしーい 木の実だから、
  だっこしあって うれているぅ♪"
 「おかあさん、いっしんのうたもすき?」
 「もちろんよ!」
 「じゃ、もういっかい うたってあげよっか?」
 「うん!お願いね!」
 CDを消して、一心の歌に耳を傾ける。
 "びわはぁ やさしーい 木の実だから、
  だっこしあって うれているぅ♪"
 少々音が外れた一心の歌声は、かわいくて、愛らしくて、なんだか泣きたくなってくる。
 「一心くん、ありがとう!」
 「またこんどうたってあげるね!」
 「うん!お願いね!」
 そうこうしていると、今度は不動がやって来て、これまた歌を歌い始めた。
 "びわはぁ やさしーい きのみだからぁ
  だっこしあってぇ うれてーいるー♪"

  幸せだなあ
 イム・ヒョンジュのCDもいいけれど、私はこうして本物の天使の歌声を生でしょっちゅう聴けるんだもの。