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   一度聞いて以来、忘れられなくなった言葉がある。何年か前の園長先生の言葉だ。
 当時、幼稚園の一部のお母さんたちの間で、絵本の読み聞かせをしようという話が持ち上がっていた。幼稚園の帰りの時間に、クラスの園児たちの前で、お母さんたちが交代で本を読んであげようという案だった。園長先生の許可を取るために、代表のお母さんが話しに行ったところ、(人づてに聞いたので正確な言葉ではないけれど)園長先生はこんなふうに言われたそうだ。
 「そういう時間があったら、走って家に帰って、自分の子どもをひざにかかえて、我が子に絵本を読んであげて下さい」
 とても、考えさせられる言葉だった。
 今でも時々考える。

 も含めて、多くのお母さんたちが良く直面する問題ではないかしら。
みんなのため、幼稚園のため、人のため、と思って頑張ると、家の事が手ぬきになってしまうこと。
 クラスの子どもたちのために、と一生懸命頑張っている陰で、自分の子どもが寂しい思いをしていること。

 私がまだ若くて、長男二男たちがまだ小さかった頃のことだ。
 その日私は朝から忙しかった。病気の友人に食事を届けようと料理に精を出していたからだ。
 時間が足りず、バタバタしているところへ、子どもたちがやってきた。「手伝いたい」という言葉は無視!せっせと野菜を刻んでいると、しなくてもいいと言っているのに子どもたちが手伝おうとして、邪魔ばかりする。いくら言っても邪魔するのでそのうちに私は声を張りあげた。
 「もうっ!あっちへ行ってなさい!お母さんは今忙しいの!さわらないで!邪魔しないで!あっちへ行きなさいってば!」
 しょんぼりと台所を出て行く子どもの姿を見て、ハッと我に帰る。
 "私ったら、何やってるんだろ・・・"
 似たようなことは何回も、いや何十回もあった。
 自分では、人のために頑張っているつもりだけれど、それってただの自己満足なのかな?とふと思ったりすると、自分がやっていることがいいことか、悪いことか、わからなくなってしまうのだ。

 子どもが小学校に入学し、クラスの役員を引き受けてからは、ますます心の葛藤を感じるようになった。
 学校の役員は、引き受け手が少ない。みんなそれぞれ忙しいからだ。でも、だれかがやらなければならない。だから引き受ける。引き受けたからには一生懸命頑張ろうとする。そうすると家のことがおろそかになる。自分の子どもが犠牲になる。それをに注意される。そこで考える。"でも・・・、でも、自分の家のことだけやってたらそれでいいのかな?クラスのために頑張ることは、自分の子どものためにもなることだ。だれかがしなければならないんだもの。頑張らなくちゃ"
 そして頑張る。また家のことが出来なくなる。落ち込む。でもまた頑張る。・・・そうやって、頑張ったり、悩んだりをくり返しながらも、3年、5年、10年・・・と役員を続けてきた。

 今は自分なりにこう考えている。
 家庭は、何よりも、どこよりも大切な所だ。自分の家族のことを一番に優先するのは利己的なことなんかじゃない。わがままなことでもない。むしろ、とっても大切なことだ。
 自分の子どもや夫に寂しい思いをさせたり、いやな気持を感じさせたり、我慢を強いるのは、やっぱりよくないことだと思う。
 だから、下に小さい子どもがいるお母さんたちには、気兼ねなく、家のことだけできるようにしてあげたい。そのためには、子育てに少し余裕のできたお母さんたちが学校の役員を進んで引き受けて下さったら、それが一番いいと思う。
 でも現実にはなかなかそうはいかなくて、小さい子どもをかかえながら、役員を引き受けている人たちは少なくない。
 それじゃあどうする?と考えた時、助けになるのはチームワークかな?と思う。
 自ら進んで、であれ、仕方なくであれ、くじ引きの結果であれ、役員になった(なってしまった)なら、役員の仲間同士が助け合って、お互いの負担を少しでも少なくして、楽しくやっていけるように協力するしかないのではないかしら。
 大変な時は、すなおに、大変だ、と言い合える関係を築き、互いに補い合うチームワークがあれば、役員生活も楽しいものだ。
 ステキな仲間とステキな友だち。新しい経験もいっぱいできるし、何よりステキな出会いがある。
 頑張るのはいいことだけど、無理はダメだ。一番大切なのは自分の子どもたち。その子たちが寂しい思いをしていると感じたら、少しペースを落とす事だ。仲間に話して、少しお休みすればいい。頑張りすぎずに、仲間を信じて、仲間にまかせてみればいい。できる時はまたくるから、その時にまた頑張ればいいんだもの。

 私の役員生活は今年で15年。たくさんの働きはできないけれど、できる限り頑張っている。
これまで私が気をつけてきたことは、忙しい毎日が続いて、子どもに無理をさせちゃったな、ガマンさせちゃったな・・・と感じたら、それをカバーする時間を必ず作るようにするということだ。二人っきりで食事に行ったり、幼稚園を一日休ませて、一日中一緒に過ごしたり。子どもに寂しい思いをさせてしまったら、決してそのままにしてはいけない、と、それだけは心に決めている。

 最初に書いた園長先生の言葉は厳しいけれど、とっても大切なことだと思う。
 何かをしようとする時、それは本当に、どうしてもしなければならないことなの?今しなければならないことなの?あなたがしなければならないことなの?それは家のことより大切なことなの?と、私は自分に問いかける。そして、今はしないほうがいいと感じたら、できるようになる時はきっとくるから、その時に頑張ろう!と思っている。

 我が家はまだまだ下の子が3才で、やりたいことを何でもできるようになる日までにはもう少しかかりそうだけれど、今できることを精一杯頑張ろうと思っている。
 夫と子どもをいつも心の一番にして