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 いてっ!
 子ども部屋を歩いていたら、小さいおもちゃのブロックを踏んでしまった。これがけっこう、腹が立つほど痛かったので、その場にしゃがんで大げさに泣きまねをしてみた。
 「え〜〜ん、えんえん、痛いよぉ〜〜」
 すると、不動が近づいてきて、私の頭をなでながら、言った。
 「なくなよ
 ・・・・・ えっ!?
 不自然に大人びて、妙に男っぽくて、いつも甘えん坊の2才のふうちゃんにはおよそ似合わないクールな口調。
 試しにもう一度泣きまねをしてみると、不動は私の頭をなでながら、また言った。
 「なくなよ」
 ・・・・キャー!!何!? これって、私って、木村拓哉と共演しているヒロインみたいじゃないですか いったいどこで、いつ、こんな言い方を覚えたんだろ?
 とにかく私一人で楽しむのはもったいないので、夕方帰宅した娘たちの前で、「みんな、見ててよ!」と泣きまねをしてみせると、不動はやっぱり私の頭をなでながら言った。「なくなよ」
 案の定、大爆笑の大受けだ。
 「ねぇ、ふうちゃん、私にも言って!」と娘たちが次々に泣きまねをするのだが、不動は決して「泣くなよ」と言わない。どうやらこれは、私だけにかけてくれる言葉らしい。(ちょっとうれしい

 というわけで、ヒロイン気分を味わいたくなったら、私は泣きまねをしながら待っていればいいのだ。
 「え〜〜ん、えんえん、え〜〜ん、えん」
 ・・・・ほら、だれかが近づいてきて私の頭をやさしくなでながら、力強く言ってくれる。
 「なくなよ」
 目を開けて見れば、おむつをはめた、鼻たれの王子様が、にっこりと笑ってる。