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 最近母の体調がかんばしくない。
 腰や足に痛みがあるらしく、足元が少しふらつくようだ。だから、子どもたちに片付けを指示する私の声は、いつもより大きくなってしまう。
 「さあ、ちゃんとおもちゃを箱に入れて!おばあちゃんが転んだら大変でしょ!ほら、そんなにすべるものを置いてたら危ないよ!床には何にもないようにしとかないと、おばあちゃんがつまづいて転んじゃう!」

 それなのに、だ。
 台所の仕事を終えて子ども部屋へ行ってみると(母は子ども部屋を通り抜けて自分の部屋に行くのだが)、なんと、部屋の真ん中に、よりによって一番すべる毛布が広げてあるではないか!
 んもうっ!まったく!誰が毛布なんか出したのよ!
 乱暴に毛布をたたんでベッドの上に戻していると、母がやってきて言った。「信ちゃん、ひゅうちゃんはやさしかとよぉ」
 「え?なんで?」
 母の話によると、毛布を広げていた張本人は、5歳の日向だったらしい。でもそれには理由があった。
 日向は、おばあちゃんの歩く足元がフワフワするように、そして、転んでも痛くないように、毛布を広げておいた、というのだ。
 「ひゅうちゃんからそれば聞いて、私はほんなこつ、うれしかったよ」
 母は、日向が広げておいた毛布の上を、そっと、そぉっと歩いて、部屋まで帰ったのだと話してくれた。
 
 そうだったのか・・・
 
 私の怒りは一瞬のうちに消え去り、怒っていた自分が急に恥ずかしくなった。
 子どもの思いやりって・・・・すごいな・・・・
 
 「ひゅうちゃん!」
 呼ばれて出てきた日向に、「ひゅうちゃんはやさしいね!」と言うと、日向は、はにかんだようににこっと笑った。