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 「痛いの、痛いの、遠くの山へ飛んでけー!」

 いつもなら、そう言えばすぐに泣きやむ不動なのだが、その日はなかなか泣きやまなかった。机にぶつけた膝は、かなり痛かったのだろう。
 「ふうちゃん、まだ痛い?じゃ、もう一回やってあげるね。痛いの痛いの、遠くの山へ飛んでけー!」
 ・・・・・それでも不動は泣いている。
 そこに、3才の一心がやって来た。一心不動の膝に自分の手を置くと、大きな声でこう言った。
 「いたいの、いたいの、いっしんのあたまにこーい!」
 それから、不動の膝に置いていた手を、自分の頭にパシン!と当てて、「あいてててて・・・!」とひっくり返った。
 その瞬間、不動はピタリと泣きやんだ。
 一心は、もう一度不動の膝に手を置いて、「いたいの、いたいの、いっしんのあたまにこーい!」と言うと、その手で自分の頭をパシッと叩き、「いてててててて!」と転がった。
 不動は声をあげて笑い出した。

 すごいなあ・・・・!

 仲良く遊び始めた二人を見ていて、私は少なからず感動してしまった。
 不動の"痛いの"は、遠くの山へ飛んでは行かず、小さな兄の頭に飛んで行ったのだ。

 幼い子どもの発想って、ほんとになんてすごいんだろ・・・・
 弟の痛みを受け止めて遊ぶ小さくて大きなお兄ちゃんの姿に、私はしばし見とれていた。