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 「えっ?まだやってるのぉ?もうそろそろやめた方がいいよ」とよく言われる。
 不動、1才10ヶ月。まだ授乳中なのだ。
 上の9人の子どもたちも全部、母乳だけで育ててきたのだが、どの子も皆、1才の誕生日を目安に授乳をやめてきた。
 ところが、なぜか、不動の場合、気づいてみれば1才10ヶ月!
 「末っ子だとつい甘くなっちゃうんでしょ!?」と友人たちは笑うけれど、実際そうなのかもしれない。
 「もうすぐ2才になるんでしょ?あまり遅くなると断乳は大変だよぉ!」友人たちが口々に脅す。
 「夜なんか大泣きで3日か5日くらい寝れないよ!」
 「1日も早い方がいいよ!」
 「覚悟を決めて、スパッとやめれば?」
 私自身、もうそろそろやめよう、と思っていた時期だったので、ちょうど1才10ヶ月になる9月1日に断乳することに決めた。
 どうやってやめようか?
 友人たちに断乳の方法を尋ねてみると、多くの友人が"へのへのもへじ作戦"を勧めてくれた。
 「へのへのもへじって書くの?」
 「そうよ」
 「おっぱいに?水性ペンで?」
 「違う、違う!油性のマジックでしっかり書くの!乳輪のところはまっ黒に塗りつぶすのよ!」
 「・・・うわ・・・」
 「効果あるよ!『ほらっ!』って見せると、びっくりして、絶対飲もうとしないから!」
 ・ ・・そりゃあ、びっくりするだろうな・・・
 なにしろ、きのうまで毎日飲んでた大好きな大好きなおっぱいが、今日になったら突然まっ黒になってて、へんてこりんな顔まであって、とんでもないことになってるわけだから・・・・
 「信ちゃん、頑張ってね!」
 「うん!やってみる!」

 さて、決行日は9月1日、のつもりだったのだけれど、当日の朝、ついうっかり飲ませてしまったので、仕切り直して、9月2日に断乳を決行することにした。
 早朝、マジックを片手に考える。
 "乳輪をまっ黒に塗りつぶす!"・・・ううっ他に方法はないかしら?・・・そして思いついた!"傷テープを貼ってみよう!"
 早速、両方の乳頭にしっかりと傷テープを貼り付けた。これで失敗したら、へのへのもへじをやればいい。
 朝、目覚めた不動がまっ先に「ぱいぱい!」とおっぱいを要求してきた。私はすぐにこう言った。
 「ふうちゃん、お母さんね、おっぱいをけがしちゃったの。痛い痛いなんだよ」
 そしてTシャツをまくりあげ、ブラジャーの下から傷テープを貼った胸を出して見せた。
 不動は傷テープ付きの私の胸をしげしげと見つめ、「・・たぁい?(痛い?)」と尋ねた。
 「うん、痛いの。あぁ痛い、痛い!」と顔をゆがめてみせると、不動は、私の胸に、彼の小さな手を当てて「…たいの…たいの…、けー!」と言いながら手をあげた。
 その瞬間、ぐっと胸が詰まった不動は"痛いの痛いの飛んでけー"と言ってくれているのだ。
 昼の間中、不動は一度もおっぱいを欲しがらなかった。
 夜になって「ぱいぱい!」と言いながら抱きついてきた不動に、「ごめんね、お母さんのぱいぱいは痛い痛いなの」と言うと、不動は私のTシャツを自分でまくりあげて確認し、また「…たいの…たいの…、けー!」とかわいい儀式をしてくれた。
 翌朝も同じことをくり返し、そしてそれきり、不動がおっぱいを要求することはなくなった。断乳はあっさりと終了したのだ。

 深夜、飲まれることのなくなった母乳を絞り出しながら感じるのは、ちょっとした寂しさだ。
 用無しになった私の胸は、もうすぐ張りをなくして、ますます垂れていくのだろうな・・・。
 ・・・ふう・・・ でも、ま、いっか!不動は確実に成長しているんだもの!

 眠っている不動のほっぺをちょんとつついて小さな声で言ってみる。
 「ふうちゃん、おっぱい卒業おめでとう!