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何年まえのことだったろう?
頑張ってはいるのだけれど、あれもできない、これもできない・・・としょげていた私にが言った。
「頑張れ!さなぎちゃん!」
「え!?なに!?さなぎ!?」思わず聞き返すと、夫はこたえた。
「信ちゃんは蛹だよ。いつかきれいな蝶になる!」

これは私にとって、正に宝石のような言葉となった。できないことが今はいっぱいあるけれど、あきらめずに努力すれば、きっとできるようになる。いつかきっと、私は蝶になれるんだ!

思いを込めて、この話を長女に話してやったところ、娘はにやりと笑って言った。
「ふうん、お母さんはさなぎなんだぁ」
「そうよ!」
「何年、さなぎやってんのかなぁ?」
「えっ?」
「お父さん、そんなにず―――っと、ずっと、ずっと、待っていられるのかなぁ?」

ドキッ!!
そうだった!そう言われれば、初めて"さなぎちゃん"と呼ばれてから、かれこれ10年以上はたっているのに、私は今もさなぎのままだ。・・・これはちょっとヤバイかも・・・

帰宅した夫に聞いてみる。
「ねぇ、英治さん、前に、私のこと"さなぎちゃん"って呼んだの覚えてる?」
「うん、覚えてるよ」
「あのさ、私が蝶になるの今もまだ待っててくれてる?」
「え?」
「かなり長いこと待たせてるけど、いつか、きっと、蝶になるから!だから、それまで忍耐強く待っててくれる?」
夫は私を抱き寄せて言った。
「頑張れ!ぼくのさなぎちゃん!」

ふっふっふっふ
どうよ、麗花ちゃん!将来結婚するなら、こういう人を選びなさいね!
得意げに夫の言葉を報告した私に向かって、長女は何度目かの言葉を、また口にした。
「バカップル!!」