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北アイルランド文化考(2)〜アイリッシュ・メンタリティー〜

“Life is too short…”
アイリッシュの友人たちがよく口にする言葉です。
「人生は短いのだから‥‥」
だから、「今」を思いっきり楽しもうじゃないか。
飲みに出かけたのなら、思いっきりとことん飲もうじゃないか。
辛いことがあってもくよくよしないで、笑い飛ばそうじゃないか。
だって、人生は短いのだから。
「命短し、恋せよ乙女」という訳でしょうか。

友人の一人がこんな話をしてくれました。
こんなメンタリティーが形成された理由、それは1960年代後半から続いた紛争に関係がある、と。
カトリック系の過激派いわゆるIRAと
プロテスタント系の過激派ロイヤリスト、地元警察、イギリス軍による
血で血を洗う対立が30年近く続いた中で
カトリック系、プロテスタント系あわせて約3500名の命が犠牲となりました。
犠牲者の中には一般人も数多く含まれています。
実際、身近な友人たちの中にもこうした犠牲者の遺族がいます。
友人Aのお父さんは政治家でした。両端に垂れ下がった目と分厚いあご髭から想像できる温厚な人柄。
6人の子どもの父親。彼は21年前の午前2時、自宅で暗殺されました。犯人はまだ捕まっていません。

友人Mのおじさんは有名な「血の日曜日事件」の犠牲者の一人です。21歳の若さでこの世を去りました。
彼は数人の友だちもイギリス軍のゴム弾によって亡くしました。

友人Jのお父さんも、この紛争の犠牲者の一人。
彼女との会話で偶然知ったこの事実。さばさばした性格で冗談好きな彼女。
そのことを聞いた後すぐには正直、どんな言葉を彼女にかけたらいいのかわかりませんでした。

この町の人たちの中に、そして町全体に
誰か近しい人、愛する人を失った記憶が生活の中に染み付いているのです。

きょうもカフェに座っていると、隣の席からこの言葉が聞こえてきました。
“… Life is too short, you know…(だって、人生は短いんだから‥)”