KKTドローン中田の南極日記

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観測は順調です

2017/1/22

私は、気象観測を行う無人航空機の技術者として今回の観測隊に参加しています。今話題のドローン(マルチコプター)も使用しますが、私の主な任務は「無人航空機によるエアロゾル観測」のオペレーション。大気中の微粒子(エアロゾル)の大きさや量を測ったり採取したりする装置を搭載したカイトプレーンという無人航空機で、南極大陸上から沿岸、海上にかけ飛行しその観測を行います。

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カイトプレーンとは、写真の様に主翼がカイト(凧)になっている飛行機です。普通の飛行機と違い、短距離の滑走で離陸ができて、ゆっくりと飛行する特徴があります。重たい観測装置を積んでも、80ccのガソリンエンジンでおよそ2時間飛行可能です。

離陸と着陸はラジコン飛行機のように手動で操縦を行いますが、距離が離れると操縦する私からは機体が見えなくなりますので自動航行をすることになります。
予め入力していた目的地や経由地の緯度経度、高度などのプログラムに従い自動的に飛行をします。

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飛行の様子は飛行管制ソフトウエアに表示され、機体の状態や飛行位置、高度などはリアルタイムに確認できます。また、飛行ルートの変更や帰還などの操作も管制ソフトから行うことが可能です。

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カイトプレーンでの観測飛行は午前10時と午後9時の1日2回を基本とします。1回の観測での飛行時間は1時間以上で、飛行距離も往復で30kmを超えます。観測を終え無事に着陸させると、毎回の事ですがホッするものです。

飛行後、私は機体の整備やチェック、給油などをし、次のフライトに備えます。同時に林さんは機体から観測装置を外し、その観測データの確認作業を行って1回の観測飛行が終わりです。

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南極大陸では内陸部から沿岸方向に向けて「カタバ風」という風が吹くため、次のフライトまでは主翼をたたんで雪上車の風下に駐機をします。※上の写真では、機体は橇(そり)の上に乗っています。

S17ってどんなところ?

2017/1/15

私達6名が滞在しているS17は正確には「S17航空機観測拠点」といい、昭和基地より内陸方向へ約20Km地点の場所に位置しています。標高は約600m。周囲には氷と雪以外に何もなく、広大な大氷原の上にポツンとある拠点です。

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S17という名前は、昭和基地からの位置を示しています。大陸沿岸の東オングル島にある昭和基地から、内陸へ約1,000kmにある「ドームふじ基地」までのルート上にP、S、H、Zなどのポイントが設定してあり、その一つが「S17」というわけです。そしてS17には「航空機観測拠点」があります。長さ1.2kmの航空機用の滑走路(と言っても雪原を雪上車で均したもの)と航空機用の燃料橇(そり)があり、主にDROMLANという東南極地域を結ぶ航空網の飛行機が利用します。また、滑走路の近くには食堂と発電機が収まる2つの棟があり、ここを拠点として様々な観測などに利用されています。

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観測拠点の設営が整った我々も、この拠点小屋を中心に観測活動や生活をすることになります。食堂棟にはキッチンや暖房もあり、テーブルやイスまでもあります。隣の発電機棟で発電していますので普通に電気も使え、部屋の中にいる限りここが南極大陸の上にいることを忘れてしまいそうです。ただし、やっぱりここは南極。キッチンの立派な設備に騙されそうになりますが、水道や下水はありませんので、蛇口や流し台は使用することはできません。

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隣接している発電機棟の中には立派なトイレもあります。トイレの個室は立派ですが、便器はペール缶トイレです。このペール缶トイレとは、缶の中に袋を入れ、それに便座を取り付けただけのもの。使用には若干の注意と慣れが必要ですが、発電機の排熱によって部屋はとても暖かく、その中で用を足すことが出来るのはとてもありがたいですね。

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これら小屋の周囲に雪上車、橇などを配置し、周辺に観測設備などを設営、設置して観測拠点の完成です。宿泊は雪上車や居住橇などで行い、食事や工作作業は食堂棟で行います。そうそう、お風呂ですが、もちろんここにはありません。ここに滞在する40数日間はお風呂には入らず、体拭きシートなどを利用して生活をします。気温が低い事と乾燥していることもあり、お風呂に入らずとも案外不快ではありませんよ。

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「S17平沢チーム」メンバー紹介

2017/1/4

ここS17拠点では私を含む6名が、およそ40日の間に気象と雪氷の観測を行います。この6名は、国立極地研究所の平沢さんをリーダーとする通称「S17平沢チーム」。私以外の5名は気象の研究者。それぞれ研究テーマを持ち、様々な観測をするために南極に来ています。今回は「S17平沢チーム」のメンバーを紹介したいと思います。

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■平沢尚彦さん(通称:社長)
国立極地研究所気水圏研究グループの助教で、専門は気象学。南極は38次、48次、56次と今回で4回目のベテラン。我々チームのリーダーとして設営、観測の指揮をとるだけでなく、精力的にメンバーの観測や活動のフォローまでもする働き者。チームの良きムードメーカー。

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■林政彦さん(通称:副社長)
福岡大学理学部地球圏科学科教授。専門は大気科学。南極は32次、38次と今回で3回目。無人航空機を使用して大気のエアロゾル(微粒子)を観測する。毎日、寝る間も惜しむほど研究・観測に没頭。その粘り強さと執念で、施設の換気扇修理から観測ソフトウエアのバグ取りまで様々な問題を解決する。

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■小西啓之さん(通称:会長)
大阪教育大学の気象学の教授で、専門は降水物理学。30次南極観測隊で越冬経験を持ち、今回は28年ぶり2回目の南極。今回の観測隊では2番目の年長者だが、数多くのマラソン大会に出場するほどのパワフルなスポーツマン。オリエンテーリングの達人でもある。


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■小塩哲朗さん(通称:シェフ)
名古屋市科学館の学芸員で、マイナス30度を体験しながら極地について学べる"極寒ラボ"という展示の担当者。56次の観測隊でS17の滞在経験を持ち、今回は2回目の南極。自身の観測の傍ら、料理の腕を活かして、S17拠点での限られた施設、道具、材料と格闘しながらも日々美味しい料理を食卓に並べてくれる。


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■ヌアスムグリ・アリマスさん(通称:グリさん)
ゼノクロス航空宇宙システムに所属する工学博士。雪氷学と衛星リモートセンシングの専門家。南極観測は初参加だが、北極全域の観測は8回の経験がある極地のエキスパート。中国新疆ウイグル自治区の出身で、ウイグル語、中国語、英語、日本語、トルコ語の5ヶ国語に精通。明るく誰とでも打ち解ける性格で、観測隊の中でもファンが多い。


この全員に共通するのが、研究に対する熱い情熱、そしてタフな体と精神力です。南極で観測をするためにはどちらも必要なものかも知れませんが、みんなのその姿に大いに刺激を受けました。そうそう、もう一つ全員に共通するのが大のイタズラ好き。まさか南極にまで来て、ウエットティッシュケースに偽装したビックリ箱に驚かされることになるとは思いもしませんでした...。

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